行政書士講座(民法)

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5D

民   法 (雇 用、請 負、委 任、寄 託、組合、事務管理)

関連過去問 5-30-35-30-45-30-510-31-110-31-210-31-310-31-410-31-512-30-112-30-212-30-412-30-514-29-114-29-214-29-314-29-414-29-516-28-ア16-28-イ16-28-ウ16-28-エ16-28-オ18-32-ア18-32-エ21-32-オ22-32-ア22-32-イ22-32-ウ22-32-エ22-32-オ23-32-423-32-523-33-123-33-223-33-323-33-423-33-523-34-ア23-34-イ23-34-ウ23-34-エ24-32-424-32-525-33-125-33-225-33-325-33-425-33-526-27-226-27-429-27-ウ29-27-エ29-27-オ30-27-3令元ー33-1令元ー33ー2令元ー33-3令元ー33-4令元ー33-5令2-32-4










1.雇用
1.1 雇用(623条)
 「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」
1.2 報酬の支払時期(624条)
 「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」
 「2項 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる」
  履行の割合に応じた報酬(624条の2) 法改正(02.04.01新規)
 「労働者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる」
@使用者の責めに帰することができない事由によって労働に従事することができなくなったとき。
A雇用が履行の中途で終了したとき。 
1.3 解除・解約 
 期間の定めのある雇用の解除(626条) 法改正(02.04.01、1項、2項)
 「雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。
 「2項 前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは3箇月前、労働者であるときは2週間前に、その予告をしなければならない」
 期間の定めのない雇用の解約の申入れ(627条)
 「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
 この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」
 「2項 法改正(02.04.01、2項) 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。
 ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない」
 「3項 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない」
 やむを得ない事由による雇用の解除(628条)
 「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
 この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」  
 雇用の更新の推定等(629条)
 「雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。
 この場合において、各当事者は、第627条の規定により解約の申入れをすることができる」
 「2項 従前の雇用について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。
 ただし、身元保証金については、この限りでない」 
 雇用の解除の効力(630条)
 「620条の規定は、雇用について準用する」
⇒解除の遡及効はない。
   
   
 請










2.請負
2.1 請負(632条)
 「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」
2.2 報酬
 報酬の支払時期(633条)
 「報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。
 ただし、物の引渡しを要しないときは、624条1項の規定を準用する」
 注文者が受ける利益の割合に応じた報酬(634条)法改正(02.04.01、実質は新規)
 「次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
@注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
A請負が仕事の完成前に解除されたとき。
 ポイント 
@請負は、仕事の完成に対して報酬が支払われるのが大原則であるが、判例などを踏まえて、例外を設け、「一定の仕事の部分を仕事の完成とみなし、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できることにした。
Aこの例外が認められるのは、
・注文者の責めに帰することのできない事由により、仕事の完成ができない。(請負人に帰責事由がある、あるいは双方に帰責事由がない場合)
・あるいは、請負が仕事の完成前に解除されたとき
 であって、かつ「可分な部分(分離可能な部分であって、それだけでも利益を得る(役にたつ)ことができる部分」に対してである。

 瑕疵担保責任に関する改正
@以下の各条は、いずれも法改正により削除された。法改正(02.04.01削除)
旧634条「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる」
旧635条「仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない」
A上記の削除後
 559条の「この売買の節の規定は、売買契約以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない」が適用されることに。
 つまり、「引き渡された目的物が品質等に関して契約の内容に適合しないものであるときは、
・買主は、562条により、目的物の修補などを請求することができる。  
・さらには、564条により、415条による損害賠償の請求並びに541条(催告による解除)及び542条(催告によらない解除)の規定による解除権の行使も可能である。 
旧635条のただし書き「建物その他の土地の工作物についての契約解除」は、これら工作物の破壊につながり、社会経済上の損失が大きいいから解除できないという趣旨であったが、必ずしもそうとは言い切れないとして削除となり、目的物に関する例外はなくなった。
 請負人の担保責任の制限(636条法改正(R02.04.01)
 「請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない」
 改正点とポイント 
   目的物に契約不適合(改正前では瑕疵)があり、それについて注文者に帰責事由があるときは、注文者は履行の追完、報酬の減額、損害賠償の請求、契約の解除をすることはできない。(ただし、請負人が、注文者の帰責事由について知っているのに黙っていた場合は、この限りではない)
⇒売買の場合の562条2項563条3項に対応したものである。
 目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限(637条法改正(R02.04.01)
 「前条(請負人の担保責任の制限)本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内その旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」
 「同2項 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない」
  改正点とポイント 
@改正前は「引き渡した時(引渡しを要しない場合は、終了した時)から1年以内に請求等を行わなければならない」となっていたところ、改正後は、
 「その不適合を知った時から1年以内に、その旨を請負人に通知しないと、請求等はできない」ことに。
 この場合、実際に請求等を行う期限については、債権等の消滅時効「権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年」による。
A2項は実質的には新規で、「引き渡した時(引渡しを要しない場合は、終了した時)において、請負人が不適合を知っている(あるいは、知らないことは重大な過失である)ときは、注文者は消滅時効の範囲内であれば、通知不要で請求等を行うことができる。
 土地工作物が契約内容に適合しない場合の請負人の担保責任の存続期間についての旧規定 (旧638条法改正(R02.04.01削除)
 「建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後5年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、10年とする」
 「2項 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から1年以内に、634条の規定による権利を行使しなければならない」
 ポイント
 削除後は、637条により、「注文者が、不適合を知ってから1年以内に請負人に通知をしなければ、責任追及をすることができない」
2.4 契約の解除
 注文者による契約の解除(641条)
 「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」
 注文者についての破産手続の開始による解除(642条) 法改正(R02.04.01)
 「注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない」
 「2項 前項に規定する場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる」
 「3項 1項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する」
 改正点とポイント 
@1項において、「ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない」を追加。
⇒「請負人による仕事の完成は、報酬の支払いよりも先に履行しなければならない」のが原則であるが、注文者が破産手続開始の手続きを受けたため全額の支払いを受ける見込みがなくなったのに、仕事の完成が求められるのは不経済であるから、請負人にも契約解除権が認められる。
 しかしながら、請負人が仕事を完成した後であれば、それ以上の出費等はないはずであるから、あえて契約の解除を認める必要はないので、そのことを明確にした。
A2項の「請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる」は、旧1項からそのまま移動。
⇒「既にした仕事の結果(所有権等)は、破産財団のものとなるが、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用の請求権を破産債権として、破産財団の配当に加入し、配当割合等に応じて受取ることができる」
B3項は、旧2項からの移動。
⇒「契約解除による損害賠償は、破産管財人が契約解除した場合のみ可能であって、請負人が損害賠償請求権を破産債権として、破産財団の配当に加入し、配当割合等に応じて受取ることができる」
14
29
1
 特約がないかぎり、請負人は自ら仕事を完成する義務を負うから、下請負人に仕事を委託することはできない。(応用) @ 

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正しい 誤り
10
31
2
 請負契約に下請負契約禁止の特約がある場合、これに反してなした下請負契約は当然に無効となる。(14-29-1の発展)@

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正しい 誤り
23
34
 民法によれば、木造建物建築工事の遅延が、不可効力によるとき、または正当な理由があるときは、受注者Bは、速やかにその事由を示して、発注者Aに工事の延長を求めることができると、規定されている。@(応用)

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正しい 誤り








18
32
 請負の報酬は、仕事の目的物の引渡しを要する場合でも、仕事の目的物の完成時に注文者が請負人に対して支払わなければならない。@(基礎)

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正しい 誤り
23
34
 民法によれば、木造建物建築工事についての発注者Aによる請負代金の支払いは、受注者Bの本契約の目的物の引渡しと同時になされるもの、と規定されている。@(18-32-アの類型)

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正しい 誤り

2
32
4
 請負契約においては仕事完成義務と報酬支払義務とが同時履行の関係に立つため、物の引渡しを要する場合であっても、特約がない限り、仕事を完成させた請負人は、目的物の引渡しに先立って報酬の支払を求めることができ、注文者はこれを拒むことができない。 @(18-32-アの類型)

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正しい 誤り
10
31
5
 請負人が約定期日までに仕事を完成できず、そのために目的物の引渡しができない場合でも、報酬の提供がなければ、履行遅滞とならない。@(18-32-アの応用)

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正しい 誤り
旧瑕疵担保責任
対応
23
34
 民法によれば、木造建物建築工事についての発注者Aは、本契約の目的物にいわゆる瑕疵など品質に関する不適合があるときは、その補修(修補)に代え、または補修(修補)とともに、損害賠償を受注者Bに求めることができる、と規定されている。@(R03改)(基礎)

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正しい 誤り
14
29
4
 完成した仕事の目的物である建物にいわゆる瑕疵など品質に関する契約内容不適合があった場合、注文者は修補か、損害賠償のいずれかを選択して請負人に請求することができるが、両方同時に請求することはできない。@(R03改)(23-34-イの類型)

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正しい 誤り
10
31
3
 請負契約の履行に当たり生じたいわゆる瑕疵など品質に関する契約内容不適合に対して、補修に代わる注文者の損害賠償債権と請負人の報酬債権は、相殺することができる。 @(R03改)

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正しい 誤り
14
29
3

 完成した仕事の目的物である建物に瑕疵があって、契約をした目的が達成できない場合であっても、注文者は契約を解除することができない。 @

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正しい 誤り












14
29
2
 注文者は、仕事完成までの間は、損害賠償をすれば、何らの理由なくして契約を解除することができる。@(基礎)

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正しい 誤り
23
32
5
 建物の工事請負契約において、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に契約を解除する場合には、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、既施工部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない。@(14-29-2の発展)

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正しい 誤り
5
30
3
 請負契約において、注文者が破産手続開始の決定を受けた場合、請負人は、仕事を完成させる前に限り、契約を解除することができる。(R03改)@(基礎)

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正しい 誤り
23
34
 民法によれば、木造建物建築工事の受注者Bの責めに帰すことができない工事の遅延または中止があるときは、受注者Bは、この契約を解除することができる。@(応用)

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正しい 誤り
担保責任期間 10
31
4
 請負契約に基づく請負人の担保責任は、目的物の引渡し後原則として1年で消滅するが、石造りの土地の工作物については5年で消滅する。@

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正しい 誤り




10
31
1
 建物新築の請負契約に当たり、注文者が材料の全部を供給した場合には、特約の有無にかかわらず、注文者に所有権が帰属する。 @

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正しい 誤り
14
29
5
 最高裁判例によれば、仕事完成までの間に注文者が請負代金の大部分を支払っていた場合でも、請負人が材料全部を供給したときは、完成した仕事の目的物である建物の所有権は請負人に帰属する。@

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正しい 誤り
 委












3.委任
3.1 委任(643条)
 「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」
 受任者の注意義務(644条)
 「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」
 
・「善良なる管理者の注意義務」とは、その人の地位、職業などからみて一般的にもたなければならない程度の注意義務のこと。
 たとえば、行政書士は行政書士として、一般的に見て果たさなければならない注意義務を怠ってはならない。
・・委任の場合は、特別な信頼関係をもって仕事を頼むのであるから、それに対して報酬があろうとなかろうと、善管注意義務をもって、この信頼にこたえなければならない。

 復受任者の選任等(644条の2)法改正(R02.04.01新規)
 「受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない」
 「2項 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う」
 改正点とポイント
@改正前は復受任についての規定がなく、例外的にしか認められないとされてきたが、本改正により、「委任者の許諾を得たときあるいはやむを得ない事由がある場合」は認められることが、明文化された。
⇒復代理人の選任(104条)に準じて規定された。
A復受任者は、その権限の範囲内において、受任者に対してではなく委任者に対して、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。
⇒復代理人の権限と義務(106条2項)に準じて(「本人及び第三者に対して」は「委任者に対して」、「代理人と同一の」は「受任者と同一の」に読替えて)規定された。

 受任者による報告(645条)
 「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない」
 受任者による受取物の引渡し等(646条)
 「受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする」
 「2項 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない」
 受任者の金銭の消費についての責任(647条)
 「受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。
 この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う」
3.2 受任者の報酬(648条)
 「受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない」
⇒原則は無償、特約がある場合のみ有償。
 「2項 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、624条2項の規定を準用する」
 「3項 法改正(R02.04.01) 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる」
@委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき、
A委任が履行の中途で終了したとき。
 3項の改正点とポイント
@1号「履行不能になったとき」を新たに追加:
 「委任者に帰責事由がない場合」、すなわち、「委任者、受任者双方に帰責事由がない場合」だけでなく、「受任者には帰責事由がある場合であっても」は、既に履行した分について請求できることに。
⇒「委任者に帰責事由がある場合」は536条2項「債権者(委任者)の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行(報酬の支払)を拒むことができない」による。
B2号「履行の中途で終了したとき」:改正前は「受任者の責めに帰することができない事由によって中途で終了したとき」に限定されていたが、改正後は「受任者に帰責事由があった場合であっても」、既に履行した分について請求できることに。(ただし、この場合は、受任者の帰責事由によっては、委任者から損害賠償の請求があることも想定しておく必要があるだろう)

 成果等に対する報酬(648条の2) 法改正(R02.04.01新規)
 「委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない」
 「2項 634条(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する」

 受任者による費用の前払請求(649条)
 「委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない」
 受任者による費用等の償還請求等(650条)
 「受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる」
 「2項 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
 この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる」
 「3項 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる」
16
28
 無償委任の受任者は、自己の財産におけるのと同一の注意をもって事務を処理する義務を負う。@(基礎)

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正しい 誤り
24
32
4
 委任が無償で行われた場合、受任者は委任事務を処理するにあたり、自己の事務に対するのと同一の注意をもってこれを処理すればよい。@(16-28-アの類型)

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正しい 誤り
12
30
1
 出張先の大阪で交通事故に遭い負傷したAは、東京在住の友人の弁護士Bに加害者Cと示談契約を締結してくれるよう依頼した。
 この場合、常より低廉な報酬で仕事を引き受けた場合には、自己の財産におけると同一の注意義務を負うことになる。@(16-28-アの類型)

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正しい 誤り
16
28
 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理状況を報告する義務を負う。@(基礎)

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33
1
 甲建物を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲建物の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合において、BがAから甲建物の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がない限り、Bは、Aに対して報酬を請求することができない。@

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正しい 誤り
18
32
 報酬の合意がある場合には、委任の報酬は、受任者の請求があれば委任者がその前払をしなければならない。@(基礎)

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正しい 誤り
12
30
4
 出張先の大阪で交通事故に遭い負傷したAは、東京在住の友人の弁護士Bに加害者Cと示談契約を締結してくれるよう依頼した。 
 この場合、AB間で報酬を支払う旨の約束があった場合でも、加害者Cが自己の責任を認めず示談交渉が決裂したときは、BはAに報酬を請求することはできない。@(基礎)

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16
28
 受任者が、委任事務を処理するについて費用を要する場合には、その事務を処理した後でなければ、委任者に対してその費用の支払いを請求することができない。@(基礎)

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正しい 誤り
12
30
5
 出張先の大阪で交通事故に遭い負傷したAは、東京在住の友人の弁護士Bに加害者Cと示談契約を締結してくれるよう依頼した。
 この場合、Bは、Cとの示談契約を成立させるまでは、Cとの示談交渉にのぞむために東京から大阪に出張するための交通費等の諾経費をAに請求することができない。@(16-28-オの類型)

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33
5
 甲建物を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲建物の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合において、BがAから甲建物の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がなければ、窓ガラスを取り換えるに当たって、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできない。@(16-28-オの類型)

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16
28
 受任者が委任事務を処理するため自己に過失なくして損害を被った場合には、委任者は、無過失であっても、受任者に対して損害賠償の責任を負う。@(基礎)

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23
33
2
 Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物の屋根が損傷した。その際Aの隣人であるBは、Aから不在中における甲建物の管理を頼まれていたために修繕を行ったが、 屋根から下りる際にBの不注意により足を滑らせて転倒し受傷した。
 この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができる。@((16-28-ウの類型)

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3.3 委任の解除(651条)
 「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」
⇒「任意解除権」といい、委任者、受任者とも、いつでも、一方的意思により、理由なく、契約を解除できる。ただし、次項により、損害賠償を請求される場合がある。
 「2項 法改正(R02.04.01)前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
@相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
A委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したとき。
 2項の改正点とポイント
・委任の解除をした者が相手方に損害賠償しなければならない事由として、Aを追加。
 すなわち、委任者の利益のみならず受任者の利益のために委任がなされた場合であっても、委任者は任意に解除できるが、やむを得ない事由でない限り、損害賠償が求められる。
・なお、@は従来通りであるが、受任者、委任者いずれからの解除に対しても適用される。
・「やむを得ない事由」とは、受任者の病気や不誠実な行為、委任者にとって、委任により処理する必要がなくなった等。

 委任の解除の効力(652条)
 「620条の規定は、委任について準用する」
⇒解除の遡及効はない。
3.4 委任の終了事由(653条)
 「委任は、次に掲げる事由によって終了する」
1  委任者又は受任者の死亡
2  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
3  受任者が後見開始の審判を受けたこと。

3.4 その他
 準委任(656条
 「この節(委任)の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する」
12
30
2
 出張先の大阪で交通事故に遭い負傷したAは、東京在住の友人の弁護士Bに加害者Cと示談契約を締結してくれるよう依頼した。
  この場合、AがBに報酬を支払うことを約束した場合には、AB間の委任契約成立後AB間の信頼関係が失われるような事態になったとしても、Bに義務違反がないかぎり、AはBとの委任契約を解除することはできない。@(基礎)

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正しい 誤り
16
28
 委任者は、委任契約をいつでも解除することができるが、受任者が委任者にとって不利な時期に解除するには、やむをえない事由がなければならない。@(基礎)

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正しい 誤り
23
32
4
 委任契約において、その契約が受任者の利益のためにもなされた場合であっても、委任者が著しく不誠実な行動に出たなどのやむを得ない事情があるときはもちろん、また、そのような事情がないときでも、委任者が解除権自体を放棄したとは解されないときは、委任者は、自己の利益のためになお解除権を行使することができる。@(発展)

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正しい 誤り
5
30
4
 委任契約は、受任者が後見開始の審判を受けることによって、終了する。@((基礎)

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正しい 誤り








4.寄託(657条) 法改正(R02.04.01)
 「寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」

 改正点とポイント
@ 寄託は「要物契約から諾成契約に」
・改正前は、「寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる」とあり、実際に物を受け取らないと成立しない要物契約とされていた。
・改正後は、物を預かる倉庫業や金銭を預かる銀行業など、諾成的な寄託契約も多い実態を踏まえて、これを明文化して認めることに。
・改正前は、「原則は無償」であったが、改正後は、有償、無償いずれも有効で、契約によることに。
 寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等(657条の2法改正(R02.04.01新規)
 「寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる」
 「2項 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない」
 「3項 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる」 
 寄託物の使用及び第三者による保管)(658条) 法改正(R02.04.01)
 「受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない」
 「2項 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない」
 「3項 再寄託者は、寄託者に対して、その権限の範囲内で、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う」
改正点
・1項:「寄託者の承諾を得なければ、寄託物の使用し、又は第三者への保管ができない」となっていたのを、使用のみに限定
・2項(新規):「寄託者の承諾を得たときのほかやむを得ない事由があるとき」でも、寄託物を第三者に保管させることができることに。
・3項:旧2項にあった準用規定(受寄者が第三者に寄託物を保管させた場合、選任と監督についての責任のみを負う)を削除し、「権限の範囲内で、受寄者と同一の権利を有し義務を負う」ことに。
  無報酬の受寄者の注意義務(659条)
 「無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う」
⇒チョッとした改正により、「無報酬で寄託を受けた者」から「無報酬の受寄者」に。
⇒有償で寄託を受けた場合は、特定物の引渡しの場合の注意義務(400条)により、「善良な管理者の注意をもって、保管しなければならない」
 受寄者の通知義務等(660条) 法改正(R02.04.01、1項改正、2項と3項新規)
 「寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない」
 「2項 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない」
 「3項 受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない」
 寄託者による損害賠償)(661条)
 「寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。
 ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない」 
 寄託者による返還請求等(662条)
 「当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる」
 「2項 法改正(R02.04.01新規) 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる」
 寄託物の返還の時期(663条)
 「当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる」
 「2項 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない」
 損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限(664条の2)法改正(R02.04.01新規)
 「寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない」
 「2項 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない」
 委任の規定の準用(665条)
 「646条から648条まで、649条並びに650条1項、2項の規定は、寄託について準用する」 
 ⇒受寄者は、
  646条:預かった金銭、物、果実を引き渡す義務
  647条:預かった金銭を使ってしまったときは、利息もつけて支払う義務
  648条:有償の場合は、報酬を請求できる
  649条:保管のために費用を必要とする時は、前払いで請求できる
  650条:保管のために要した費用を立て替えたときは、利息もつけて請求できる(1項)。あるいは、債務を負担したときは、その弁済を請求できる(2項)
 混合寄託(665条の2) 法改正(R02.04.01新規)
 「複数の者が寄託した物の種類及び品質が同一である場合には、受寄者は、各寄託者の承諾を得たときに限り、これらを混合して保管することができる」
 「2項 前項の規定に基づき受寄者が複数の寄託者からの寄託物を混合して保管したときは、寄託者は、その寄託した物と同じ数量の物の返還を請求することができる」
 「3項 前項に規定する場合において、寄託物の一部が滅失したときは、寄託者は、混合して保管されている総寄託物に対するその寄託した物の割合に応じた数量の物の返還を請求することができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない」
 消費寄託(666条) 法改正(R02.04.01)
 「受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合には、受寄者は、寄託された物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還しなければならない」
 「2項 590条(貸主の引渡し義務等)及び592条(価額の償還)の規定は、前項に規定する場合について準用する」
 「3項 591条2項(借主による随時返還)及び3項(借主の損害賠償義務)の規定は、預金又は貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用する」
 改正点とポイント 
 消費寄託とは、「寄託を受ける者が契約により寄託物を消費して、後日、同種・同等・同量のものを返還すればよい特殊な寄託」のこと。例えば金融機関による預貯金など。
@改正前の消費寄託については、返還の時期を定めなかった場合の返還請求権をのぞき、消費貸借の規定が準用されていた。
A改正後は1項で、消費寄託の場合の「受寄者の返還義務が明文化」された。
Bその他についても、「消費寄託」といえども、原則として「寄託」の規定が適用されることを前提とし、
B-1 2項
・「貸主の引渡し義務等及び価額の償)の規定に限り、消費貸借の規定を準用することに」
・これは、消費寄託においては、寄託物の処分権が受寄者に移転するという点で、消費貸借と共通するところがあるからである。
B-2 3項
・「預貯金契約については、その実態を考慮して、借主による随時返還及び借主の損害賠償義務の規定は、預貯金に係る契約により金銭を寄託した場合について準用することに。
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32
5
 寄託が無償で行われた場合、受寄者は他人の物を管理するにあたり、善良なる管理者の注意をもって寄託物を保管しなければならない。@(基礎)

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正しい 誤り
5
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5
 寄託契約において、当事者が寄託物の返還の時期を定めていないときは、受寄者は。いつでも寄託物を返還することができる。@(基礎)

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正しい 誤り
21
32

 

 Aは、Bと寄託契約に基づき受寄物を保管していたが、保管事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、Bに対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。@

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正しい 誤り














5.組合
 組合契約(667条)
 「組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる」
⇒組合とは、複数の者が共同で業務を行うために作られた人の集まりであり、社団法人とよく似ている。
 事業は、営利非営利、公益、親睦等を問わず、また継続的か一時的かは問わない。
 ただし、団体としての独立性はほとんどなく、組合員一人ひとりが代表者(責任者)であってその総称を組合と呼んでいるに過ぎない。
⇒ここにいう組合は、他の法律によって認められている労働組合、生活協同組合、農業協同組合、事業協同組合などとは異なるもので、「民法上の(任意)組合」といわれているもの。
 たとえば、町内の商店街が「祭」を行うために、一時的に結成した組織などがその例。
⇒権利能力なき社団についてはこちらを 
 「同2項 出資は、労務をその目的とすることができる」
⇒組合員は、金銭、動産、不動産など何がしかの出資をしなければならないが、それが労務の提供であってもよい。
  他の組合員の債務不履行(667条の2) 法改正(R02.04.01新規)
 「533条及び536条の規定は、組合契約については、適用しない」
 「2項 組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない」
 組合員の一人についての意思表示の無効等(667条の3) 法改正(R02.04.01新規)
 「組合員の一人について意思表示の無効又は取消しの原因があっても、他の組合員の間においては、組合契約は、その効力を妨げられない」
 組合財産の共有(668条)
 「組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する」
⇒より正確には「合有」すなわち、組合員は持分権を有するが、組合が解散するまでは分割請求はできず(676条3項)、持分権の処分も第三者には対抗できない。(676条1項)
 業務の決定及び執行の方法(670条) 法改正(R02.04.01;1項、2項修正、3項と4項追加、5効は旧3項の繰下げ)
 「組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する」
 「同2項 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、1人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる」
 「同3項 前項の委任を受けた者(業務執行者)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する」
 「同4項 前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない」
 「同5項 組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない」
 改正点とポイント
@670条全体:改正前は「業務の執行」とあるものの、実際には「業務の意思決定」についての規定にとどまっていたが、改正後は「決定された意思を執行する方法」についても明文化された。
A2項:組合契約に定めることによって、組合員だけでなく第三者にも、業務の決定と執行を委任できることを規定
B3項:複数の者に委任したときは、その過半数が決定し、各々がこれを執行することを規定
C4項:委任した場合でも、全組合員の同意によって業務を決定し、全組合員で執行することができるようにした。
D5項:旧3項と同じであって、常務(日常におい反復継続して行われる軽微な業務)は、特段の異議がなければ、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。
 組合の代理(670条の2)法改正(R02.04.01新規)
 「各組合員は、組合の業務を執行する場合において、組合員の過半数の同意を得たときは、他の組合員を代理することができる」
 「同2項 前項の規定にかかわらず、業務執行者があるときは、業務執行者のみが組合員を代理することができる。この場合において、業務執行者が数人あるときは、各業務執行者は、業務執行者の過半数の同意を得たときに限り、組合員を代理することができる」
 「同3項 前2項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者は、組合の常務を行うときは、単独で組合員を代理することができる」
 改正点とポイント
 
組合は法人格をもたないので、第三者と法律行為を行う場合は、代理という形をとる必要があり、これについて明文規定を設けた。
@1項:業務執行者を置かない場合、各組合員が他の組合員を代理するには、過半数の同意が必要
A2項:業務執行者を置く場合、業務執行者のみが組合員を代理することができる。(業務執行者が複数いるときは、その過半数の同意が必要)
B3項:常務(日常におい反復継続して行われる軽微な業務)の場合は、各組合員又は各業務執行者は、単独で代理できる。
 委任の規定の準用(671条法改正(R02.04.01)
 「644条から第650条までの規定は、組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用する」
⇒「業務を執行する」から、「業務を決定し、又は執行する」に。
 業務執行組合員の辞任及び解任(672条) 法改正(R02.04.01)
 「組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員に業務の決定及び執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。」
⇒「組合契約で」から、「組合契約の定めるところにより」に。
 「同2項 前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができる」
 組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査(673条)法改正(R02.04.01)
 「各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる」
⇒「業務を執行する」から、「業務の決定及び執行をする」に。

 組合員の損益分配の割合(674条)
 「当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める」
 「同2項 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する」
  組合の債権者の権利の行使(675条)法改正(R02.04.01:1項修正、2項追加)
 「組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる」
 「同2項 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。
 ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による」
 改正点とポイント
@基本的認識:組合の債務も、各組合員に分割されて帰属するのではなく、1個のものとして総組合員に含有的に帰属する。そして、組合財産がその引き当てとなる。
A1項:
・組合の債権者は組合財産に対して、権利を行使できる。
・「その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合で」を削除し、単に「組合財産について」とする。
・その場合の損失分担等についての主張は、2項による。

 組合員の持分の処分及び組合財産の分割(676条)
 「組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない」
 「2項 法改正(R02.04.01:追加)、組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。
⇒「組合財産に属する債権は、総組合員が共同してのみ行使することができる」という判例法理を明文化
 「3項 組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない」
⇒旧2項の繰下げ
  組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止(677条) 法改正(R02.04.01)
 「組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない」
⇒組合員であって債権者である者は、組合財産上の持分の差押え、その債権と組合に対する債務との相殺などをすることはできない。
 組合員の加入(677条の2法改正(R02.04.01新規)
 「組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる」
 「2項 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない」
 組合員の脱退(678条) 
 「組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。
 ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない」
 「同2項 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる」
 脱退した組合員の責任等(680条の2)法改正(R02.04.01新規)
 「脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。この場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、脱退した組合員は、組合に担保を供させ、又は組合に対して自己に免責を得させることを請求することができる」
 「2項 脱退した組合員は、前項に規定する組合の債務を弁済したときは、組合に対して求償権を有する」
 組合の解散事由(682条法改正(R02.04.01)
  「組合は、次に掲げる事由によって解散する」
@組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
A組合契約で定めた存続期間の満了
B組合契約で定めた解散の事由の発生
C総組合員の同意
⇒@は旧682条本文からの移動。AからCは新規。
 組合の解散の請求(683条)
 「やむを得ない事由があるときは、各組合員は、組合の解散を請求することができる」
 組合契約の解除の効力(684条)
 「620条の規定は、組合契約について準用する」
⇒解除の遡及効はない。
 清算人の業務の決定及び執行の方法(686条)法改正(R02.04.01)
 「670条3項から5項まで並びに670条の2の2項及び3項の規定は、清算人について準用する」
25
33
5
 A、B、C、D、Eの5人が、各自で出資をして共同の事業を営むことを約して組合を設立した場合において、組合財産に属する特定の不動産について、第三者が不法な保存登記をした場合に、Aは、単独で当該第三者に対して抹消登記請求をすることができる。@

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正しい 誤り
25
33
2
 A、B、C、D、Eの5人が、各自で出資をして共同の事業を営むことを約して組合を設立した場合において、組合契約でA、B、Cの3人を業務執行者とした場合には、組合の業務は、A、B、C全員の合意で決しなければならず、AとBだけの合意では決することはできない。 @

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正しい 誤り
常務の執行 25
33
1
 A、B、C、D、Eの5人が、各自で出資をして共同の事業を営むことを約して組合を設立した場合において、Aは、組合の常務について単独で行うことはできず、総組合員の過半数の賛成が必要であるから、Aのほか2人以上の組合員の賛成を得た上で行わなければならない。@

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正しい 誤り
組合の代理 29
27
 団体Bが組合であり、自然人Aが組合の業務を執行する組合員である場合に、組合契約によりAの業務執行権限を制限しても、組合は、善意無過失の第三者には対抗できない。 @

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正しい 誤り
報酬 29
27
 自然人Aが組合Bの業務を執行する組合員である場合は、Aは、組合財産から当然に報酬を得ることができる。@

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正しい 誤り






退
25
33
3
 A、B、C、D、Eの5人が、各自で出資をして共同の事業を営むことを約して組合を設立した場合において、組合契約で組合の存続期間を定めない場合に、Aは、やむを得ない事由があっても、組合に不利な時期に脱退することはできない。 @

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正しい 誤り
25
33
4
 A、B、C、D、Eの5人が、各自で出資をして共同の事業を営むことを約して組合を設立した場合において、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約がある場合に、Aは、適任者を推薦しない限り当該組合を脱退することはできない。@

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正しい 誤り
30
27
3
 組合契約において、組合員はやむを得ない事由があっても任意に脱退することができない旨の約定が存する場合であっても、組合員の脱退に関する民法の規定は強行規定ではないから、かかる約定の効力が否定されるものではない。@(25-33-4の類型)

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正しい 誤り
損益の分配 26
27
2
 A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になり、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、組合員であるA、B、CおよびDの各自がその損失分担の割合に応じて責任を負う。@(R02改)

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正しい 誤り






26
27
4
 A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。@

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正しい 誤り
29
27
 自然人Aが組合Bに所属している場合において、Aは、いつでも組合財産についてAの共有持分に応じた分割を請求することができる。@(26-27-4の類型)

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正しい 誤り
















6.事務管理
 事務管理(697条)
 「義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という)をしなければならない」
 「2項 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない」
 事務管理の要件
 @他人の事務(人の生活に必要な一切のこと)を管理(処理)
 A他人のためにする意思をもつ
 B法律上の義務がない
 C本人の意思に反しない、本人に不利益であることが明らかでないこと
 ⇒委任の場合は、@、Aは他人ではなく本人という表現になるはず。
 ⇒頼まれもしないお節介を焼いても、事務管理として適切であったと認められれば、責任は発生しない。
 緊急事務管理(698条)
 「管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない」
 管理者の通知義務(699条)
 「管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない」
 管理者による事務管理の継続(700条)
 「管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。
 ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない」
 委任の規定の準用(701条)
 「645条(報告、受取物の引渡し)から647条(金銭消費の責任)までの規定は、事務管理について準用する」
 管理者による費用の償還請求等(702条)
 「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる」
⇒前払請求はできないが、事後の償還請求はできる。
⇒「有益な費用」とは、物の価値を高めるために支出された費用であり、一般的には、価値を維持するためなどに支出された必要費とは異なる。ただし、702条の場合の「有益費」の概念は少し広く、一定の必要費も含まれるとされている。
 「2項 650条2項(債務の弁済)の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する」
 「3項 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前二項の規定を適用する」
22
32
 AはBのためにある事務処理を行った。その事務処理がA・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、AはBを代理する権限が法律上当然には認められないのに対し、その事務処理がBのために行った事務管理である場合には、Bを代理する権限が法律上当然に認められる。@(発展)

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正しい 誤り
23
33
3
 Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物の屋根が損傷した。その際、Aの隣人であるBは、Aからあらかじめ甲建物の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、それがAにとって有益であるときは、Bは、Aに対して報酬を請求することができる。@(応用)

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正しい 誤り
22
32
 AはBのためにある事務処理を行った。その事務処理がA・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、Aは事務を処理するにあたって受け取った金銭をBに引き渡さなければならないが、その事務処理がBのために行った事務管理である場合には、Bに対してそのような義務を負わない。@(基礎)

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正しい 誤り
22
32
 AはBのためにある事務処理を行った。その事務処理がA・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、Aは委任の終了後に遅滞なくBに事務処理の経過および結果を報告しなければならないのに対し、その事務処理がBのために行った事務管理である場合には、事務管理を終了しても、Bの請求がない限り、事務処理の結果を報告する義務を負わない。@(基礎)

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正しい 誤り
























22
32
 AはBのためにある事務処理を行った。その事務処理がA・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合においては、Aは事務の処理に関して費用を要するときは、Bに対しその費用の前払いを請求することができるのに対し、その事務処理がBのために行った事務管理である場合には、Bに対し事務の管理により生じる費用の前払いを請求することができない。@(基礎)

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正しい 誤り
22
32
 AはBのためにある事務処理を行った。その事務処理がA・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、Aは事務を処理するために善良なる管理者の注意をもって必要と判断した費用についてBに対し償還請求することができるのに対し、その事務処理がBのために行った事務管理である場合には、Bのために有益であった費用についてのみBに対し償還請求をすることができる。(基礎)

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正しい 誤り


33
2
 甲建物を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲建物の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合において、BがAから甲建物の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bは、Aに対して窓ガラスを取り換えるために支出した費用を請求することができる。@(22-32-イの類型)

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 Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物の屋根が損傷した。その際、Aの隣人であるBは、Aからあらかじめ甲建物の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、工務店を営むCに修繕を請け負わせたが、実はAがCによる修繕を望んでいないことが後になって判明した。
 このような場合、甲建物にとって必要不可欠な修繕であっても、Bは、Aに対してその費用の支払いを請求することができない@。(22-32-イの応用)

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 Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物の屋根が損傷した。その際Aの隣人であるBは、Aからあらかじめ甲建物の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、 工務店を営むCに修繕を請け負わせた。このようなBの行為は、Aのための事務管理にあたるから、これによりCは、Aに対して工事代金の支払いを直接に請求することができる。@(22-32-ウ後段の類型)

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 甲建物を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲建物の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合において、BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合においては、BがAの名において窓ガラスの取換えを業者Dに発注したとしても、Aの追認がない限り、Dは、Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできない。@(23-33-4の類型)

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 甲建物を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲建物の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合において、Aから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bが自己の名において窓ガラスの取換えを業者Cに発注したときは、Bは、Aに対して自己に代わって代金をCに支払うことを請求することができる。@(23-33-4の応用)

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 Aの不在の間に台風によってA所有の甲建物の屋根が損傷した。その際Aの隣人であるBは、Aからあらかじめ甲建物の管理を頼まれていなかったにもかかわらず、Aのために修繕を行ったが、強風に煽られて屋根から落下してしまい、受傷した。
 この場合に、Bは、Aに対して損害賠償を請求することができない。@(応用)

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