行政書士講座(民法)

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4A

民   法 (債  権)

関連過去問 5-29-16-29-16-29-26-29-36-29-415-29-ア18-31-ウ 、18-31-エ19-31-219-31-319-31-419-31-519-32-ア19-32-イ19-32-ウ19-32-エ19-32-オ20-32-120-32-220-32-427-32-128-33-128-33-228-33-328-33-428-33-5令2-30-1令2-30-2令2-30-3令2-30-4令2-30-5令2-34-1令2-34-2令2-34-3令2-34-4令2-34-5令3-31-ア令3-31-イ令3-31-ウ令3-31-エ令3-31-オ令3-34-5令4-30-1令4-30-2令4-30-3令4-30-4令4-30-5令4-33-4令4-33-5
関連条文 債権の目的(399条)、特定物の引渡しの場合の注意義務(400条)、種類債権(401条)、金銭債権(402条)、法定利率(404条)  
 選択債権における選択権の帰属(406条)、選択権の行使(407条)、選択権の移転(408条)、第三者の選択権(409条)、不能による選択債権の特定(410条)、選択の効力(411条
 履行期と履行遅滞(412条)、履行不能(412条の2)、受領遅滞(413条)、履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由(413条の2)
 履行の強制(414条)、債務不履行による損害賠償(415条)、損害賠償の範囲(416条)、損害賠償の方法(417条)、中間利息の控除(417条の2
 過失相殺(418条)、金銭債務の特則(419条)、賠償額の予定(420条)
 損害賠償による代位(422条)、代償請求権(422条の2








0.債権の意義

・債権とは、人に対して請求できる権利、債務者から給付を受ける権利
 ⇒物権は、物に対する権利、物を支配できる権利
・債権は平等性を有し、同一債務者に対して同一内容の請求権が複数成立する場合もある。
 ⇒物権は排他性を有し、同一物に同一内容の物権が複数成立することはありえない。
・債権は相対的な権利であって、特定の者に対してだけその権利の実現を要求することができる。
 ⇒物権は絶対性を有し、特定の者に対してだけでなく、全ての人に対してその権利の実現を妨げないように要求することができる。 
6
29
3
 債権は、排他性、絶対性を有し、債権者に対する影響が大きいため、原則として法律に定めがある場合に限られる。したがって、債権は登録する必要がある。(基礎)@

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正しい 誤り
6
29
2
 同一債務者に対する、同一の内容を目的とする債権が、2個以上の契約として成立することは可能である。(6-29-3の応用)@

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正しい 誤り












1.債権の目的
1.1 債権の目的(399条)
 「債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる」

 債権の目的とは、債権の内容すなわち債権者が債務者に対して「・・・をして欲しい」と請求できる(給付を求める)内容のこと。
 給付とは、債務者が債権者の請求(債権)に応じてしなければならない行為のこと。
 債権の目的とすることができる要件
@適法性(公序良俗に反しないことなど)
A実現可能性(債権が成立する時点で、具体的に確定している必要はないが、給付の実現が可能なものでないといけない)
B内容の確定性(履行するときまでには、内容が確定するものでなければならない)
1.2 特定物の引渡しの場合の注意義務(400条)法改正(R02.04.01)
 「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない」

 改正点とポイント
・「善良なる管理者の注意義務」とは、その人の地位、職業などからみて一般的にもたなければならない程度の注意義務のこと。商人は商人として、役人は役人として、一般的に見て果たさなければならない注意義務があるはずである。
・法改正点は、「善良なる管理者の注意義務」の前に「契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」という文言を追加したこと。
 これは、特定物の引渡しが契約によって生じた場合は、債権者が引渡しに関して尽くすべき注意義務の具体的な内容が契約の趣旨等によって決まるべきものであるということに基づく。
 具体的には、契約(書)の内容、契約の目的、性質、締結にいたる経緯、趣旨、取引慣行などに照らして定まる善管注意義務ということ。
・「善管注意義務」を怠ると、損害賠償する責任が発生する。
・一方、「善管注意義務」を怠っていないにもかかわらず、物が壊れたりなどした場合は、壊れたままの状態で引き渡しても、債務不履行の責任は発生しない。

1.3 種類債権(401条)
 「債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない」
 「2項 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする」
⇒「引き渡しの準備が終わったとき、あるいは引き渡すべき物が指定された」とき、その物は特定物となるので、400条により、「善管注意義務」をもって保管しなければならない。
1.4 金銭債権(402条)
 「債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない」
 「2項 債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない」
1.5 法定利率(404条)法改正(R02.04.01、1項改定、2項、3項、4項、5項追加)
 「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による」
 「2項 法定利率は、年3パーセントとする」
 「3項 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を1期とし、1期ごとに、次項の規定により変動するものとする」
 「4項 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(直近変動期)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする」
 「5項 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のものに限る)に係る利率の平均をいう)の合計を60で除して計算した割合(その割合に0.1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる)として法務大臣が告示するものをいう」
改正点とポイント
・法定利率は、令和2年3月31日までは 年5%であったが、
 令和2年4月1日から令和5年3月31日までは 年3%で、それ以降3年ごとに見直す変動制に。
・ よって、一般的にいえば、[その利息が生じた最初の時点(支払義務の最初の履行期ではなく、支払義務が発生した最初の時点)」における法定利率(の値)
・変動は、短期貸付け利率の過去5年間の平均値をもとに算定された「基準割合」に応じてなされる。

1.6 選択債権
 選択債権における選択権の帰属(406条)
 「債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する」 
 選択権の行使(407条)
 「前条の選択権は、相手方に対する意思表示によって行使する」
 「同2項 前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない」 
 選択権の移転(408条)
 「債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する」
 第三者の選択権(409条
 「第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者又は債務者に対する意思表示によってする」
 「同2項 前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する」
  不能による選択債権の特定(410条法改正(R02.04.01)
 「債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する」
 改正点とポイント
@改正前は、「初めから不能(原始的不能)又は後に至って不能(後発的不能)となったものがあるときは、債権は残存するものについて存在する(つまりは残ったものの方に限定される)」とされていたが、
A改正後は、「後発的不能であって、選択権を有する者(通常は、特約がない限り債務者)の過失による場合についてのみ、債権が残ったものの方に限定されることに。
B改正後において
・選択権者が債務者(給付する者)で、債権者の過失により給付不能となったときは、債務者は給付不能になったものを選択でき、結局債務は消滅する。(給付しなくてよい)
・選択権者が債権者(給付を受ける者)で、債務者の過失により給付不能となったときは、債権者は給付不能のものに代わる損害賠償か、残ったものの方のいずれかを選択できる。  

 選択の効力(411条
 「選択は、債権の発生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない」
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29
4
 債権は、給付の実現が可能であれば、将来のものでもその目的とすることは可能である。(応用)@

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正しい 誤り















19
31
2
 Aが「もち米」を50キロ買う契約をB米店との間で行い、Bによる引渡しの準備がまだ終わっていない場合、Bは、目的物が特定されるまでの間は、B米店にある「もち米」の保管について善管注意義務を負うことはない。@

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19
31
3
 Aが「もち米」を50キロ買う契約をB米店との間で行い、Bによる引渡しの準備がまだ終わっていない場合、目的物が特定される前に、隣家の火災によりB米店の「もち米」がすべて焼失してしまった場合、その焼失はBの責任ではないので、Bは他から「もち米」を再調達して引き渡す義務はない。 @

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19
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4
 Aが「もち米」を50キロ買う契約をB米店との間で行い、Bによる引渡しの準備がまだ終わっていない場合、A・B間で取り決めがなければ、Bは上等な「もち米」を50キロ引き渡さなければならない。@

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 Aが「もち米」を50キロ買う契約をB米店との間で行い、Bによる引渡しの準備がまだ終わっていない場合、 「もち米」50キロの所有権は、目的物が特定される前でも、特約がなされなければ、A・B間の売買契約をした時に移転する。@

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6
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1
 債権の目的が、数個の給付のうちから選択によって決まる場合は、その選択権は債務者に属する。(基礎)@

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2
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1
 A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。この場合、給付の目的を甲建物とするか乙建物とするかについての選択権は、A・B間に特約がない場合には、Bに帰属する。(6-29-1の類型)

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令2
30
2
 A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。そして、A・B間の特約によってAが選択権者となった場合に、Aは、給付の目的物として甲建物を選択する旨の意思表示をBに対してした後であっても、Bの承諾を得ることなく、その意思表示を撤回して、乙建物を選択することができる。

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2
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4

 A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。そして、A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cの選択権の行使は、AおよびBの両者に対する意思表示によってしなければならない。

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5
 A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。そして、A・B間の特約によって第三者Cが選択権者となった場合において、Cが選択をすることができないときは、選択権は、Bに移転する。(令2-30-4の発展)

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正しい 誤り

2
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3
 A・B間において、Aが、Bに対して、Aの所有する甲建物または乙建物のうちいずれかを売買する旨の契約が締結された。そして、A・B間の特約によってAが選択権者となった場合において、Aの過失によって甲建物が焼失したためにその給付が不能となったときは、給付の目的物は、乙建物になる。

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2. 債務不履行の責任 
2.1 履行期と履行遅滞(412条)
 「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う」
 「2項 法改正(R02.04.01 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う」
改正点
・「期限の到来した後に履行の請求を受けた時」を追加し、この場合も履行遅滞の責任を負うことに。
・これに伴い、履行遅滞の責任が生じるのは、「期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から」とした。
 「3項 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」
  履行遅滞になるとき
  期限   例  履行遅滞責任の始点
 確定期限付  「今度の正月がきたら」  ○〇年の1月1日が来たときから
 不確定期限付  「あの人が亡くなったら」  あの人が死亡した後に履行の請求を受けた時と、あの人が死亡したことを知った時のいずれか早い時から
 期限の定めがない    請求(催告)を受けたときから
 
 履行不能(412条の2)法改正(R02.04.01新規)
 「債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない」
 「同2項 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」
改正点とポイント
・1項: 履行が不能であれば、履行せよと請求することはできないという自明のことを明文化した。
・2項:原始的不能の契約の効力については、改正前に規定はなく、無効か否かと解釈がゆれていた。
 改正後は、一応、有効とした上で、損害賠償請求をすることもできることに。
 ただし、実際には契約解除による無効化もできると解釈されている。(542条1項1号)

 受領遅滞(413条)法改正(R02.04.01)
 「債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる」
 「同2項 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする」
 改正点とポイント
@改正前においては、受領遅滞があったときは、「履行の提供があったときから遅滞の責任を負う」となり、受領遅滞の効果が必ずしも明確でなかった。
A改正後は、受領遅滞効果について
・債務者の保存義務は善管注意義務から、自己の財産に対するのと同一の注意義務へ軽減されること
・受領遅滞により保存費用などが増加した場合は、債権者の負担になること
 を明確にした。
・また、受領遅滞中に当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行不能が生じたときの責任負担については、こちらを

 履行遅滞中又は受領遅滞中の履行不能と帰責事由(413条の2)法改正(R02.04.01新規)
 「債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす」
 「同2項 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす」
 改正点とポイント
@1項改正前においては、「債務者が履行遅滞中に、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務の履行が不能となったとき」の損害賠償責任については、規定がなかったが、明治時代からの判例において、債務者は履行不能の責任は免れないとされてきたこともあり、このたび明文化された。
A2項:「債権者が受領遅滞中(債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において)、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務の履行が不能となったとき」は、債権者の責めに帰すべきものとみなす。

 履行の強制(414条)こちらを
2.2 債務不履行による損害賠償(415条)法改正(R02.04.01)
 「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
 ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」
 「同2項 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる」
@債務の履行が不能であるとき。
A債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
B債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
 改正点とポイント
1項:
・改正前は、「債務の本旨に従った履行をしないとき」のほか、「債務者の責めに帰すべき事由によって履行できなくなった場合」とあり、履行不能に限って帰責事由が必要であるかのごとくなっていた(実際には、債務不履行全般について、帰責事由の存在が必要であった)
・改正後は、履行不能を含め、債務不履行全般について帰責事由の必要性を維持したが、「債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものである時は」は免責を認めた。
 このことは、また、免責事由の存在の主張・立証は債務者が行うべきことを明らかにしたといえる。
2項(新規追加):履行不能だけでなく、債務の履行の拒絶、契約の解除に対しても、履行に代わる損害賠償を請求することができる。
 履行遅滞・履行不能・不完全履行
 履行遅滞
 
要件
・履行期に、履行可能であるが、履行しない。
履行しないことに違法性がある。
免責
・「履行遅滞が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」
 この主張・立証責任は債務者側にある。(以下同じ)
効果
・遅延賠によって生じた損害賠償の請求
・本来の給付の請求、契約から生じた債務についても契約解除権
・履行の強制など
 履行不能
要件
・履行が不能であること
履行不能が違法であること。
契約成立時に履行不能であっても、契約は有効
免責

・「履行不能が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」
効果
・債務の履行を請求できない
債務者の帰責事由による場合(免責事由がない場合):
 債務の履行に代わる損害賠償(填補賠償)を請求できる。
 契約を解除できる 
不完全履行
 
 
 一部は履行したが、契約内容にそった完全な履行 をしない、あるいはすることができない。
確定期限がある債務 28
33
1
 不確定期限がある債務については、その期限が到来した時ではなく、債務者が、期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から履行遅滞になる。 (R2改)(基礎)@

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正しい 誤り

3
31
 AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。
 Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。
 BがAの母の死亡の事実を知らないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

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正しい 誤り
期限の
定めがない

3
31
 AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。
 残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

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正しい 誤り
帰責事由があることの立証 5
29
1
 債務不履行の場合は、債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者に帰責事由があることを債権者が立証しなければならず、不法行為の場合は、被害者が加害者の故意または過失を立証しなければならない。(R02改)(応用)@

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正しい 誤り
28
33
2
 債務者が自己の債務を履行しない場合、その債務不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであることを債務者の側において立証することができなければ、債務者は債務不履行責任を免れることができない。(R02改) (5-29-1の類型)@

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履行遅滞による賠償責任 27
32
1
 AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする)において、 Bが履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない場合であっても、Aが電器製品をBのもとに持参していないときは、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。 @

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正しい 誤り
20
32
1
 AがBに対して自己所有の家屋を売る契約をした場合、Aが当該家屋をBに引き渡すまでの間は善管注意義務をもって当該家屋を保存・管理しなければならないので、Aの履行遅滞中に不可抗力で当該家屋が滅失してもAが善管注意義務を尽くしていれば責任を負わない。@

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正しい 誤り
28
33
3
 賃借人が賃貸人の承諾を得て賃貸不動産を転貸したが、転借入の過失により同不動産を損傷させた場合、賃借人は転借入の選任および監督について過失がなければ、賃貸人に対して債務不履行責任を負わない。 @

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20
32
2
 AがBに対して自己所有の家屋を売る契約をしたが、Bが登記を備える前に、AがCに対して当該家屋を二重に売ってしまった場合、CがBより先に仮登記を備えたときでも、AのBに対する債務は未だ履行不能とはならない。@

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正しい 誤り
18
31
 A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった。
 この場合、AはBに対して履行不能を理由として売買契約を解除することができる。@

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正しい 誤り
18
31
 A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった。
 この場合、Aは、Bに対して代金の支払いを免れることはできないが、債務不履行を理由とする損害賠償請求をすることができるので、この両者につき相殺を主張することができる。@

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正しい 誤り
15
29
 Aは不動産会社Bと、BがC工務店に注文して建築させた建売住宅を購入する契約を締結した。この建売住宅が売買契約成立後Aへの引渡し前に、Bの責に帰すべからざる事由によって火災で半焼してしまった場合、AはBに対して、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる`。@

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正しい 誤り



4


30








 Aは、BにCから贈与を受けた動産甲を売却する旨の契約(以下「本件契約」という)をBと締結したが、引渡し期日が過ぎても動産甲の引渡しは行われていない。
 この場合についての次の記述は、民法の規定に照らして正しいか。

4
30
1
  本件契約に「Cが亡くなった後に引き渡す」旨が定められていた場合、Cの死亡後にBから履行請求があったとしても、Aが実際にCの死亡を知るまではAの履行遅滞の責任は生じない。

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正しい 誤り

4
30
2
 動産甲が、契約締結前に生じた自然災害により滅失していたために引渡しが不能である場合、本件契約は、その成立の時に不能であるから、Aは、Bに履行の不能によって生じた損害を賠償する責任を負わない。

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正しい 誤り

4
30
3
 動産甲の引渡しについて、Aが履行補助者であるDを用いた場合、Dの過失により甲が滅失し引渡しができないときには、Aに当然に債務不履行責任が認められる。
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正しい 誤り

4
30
4
 動産甲が本件契約締結後引渡しまでの間にA・B双方責めに帰すことができない事由によって滅失したときは、Aの引渡し債務は不能により消滅するが、Bの代金債務は消滅しないから、Bは、Aからの代金支払請求に応じなければならない。
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正しい 誤り

4
30
5
 Aが本件契約に基づき動産甲をBのもとに持参して引き渡そうとしたが、Bがその受領を拒んだ場合、その後にA・B双方の責めに帰すことができない事由によって甲が滅失したときは、Bは、本件契約の解除をすることも、Aからの代金支払請求を拒絶することもできない。
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正しい 誤り
受寄者の債務不履行責任 28
33
4
 受寄者が寄託者の承諾を得て寄託物を第三者に保管させた。その後、当該第三者の過失により寄託物を損傷させた場合、受寄者は、当該第三者の選任および監督について過失がないとしても、寄託者に対して債務不履行責任を負うことになる。(R02改) @

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 医療過誤訴訟における債務不履行あるいは不法行為による損害賠償責任発生の判断基準:医療水準について
 最高裁判例[損害賠償](S57.03.30)によれば、
 「人の生命及び健康を管理すべき業務に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のため実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるが(最高裁判例[損害賠償請求](S36.02.16))、右注意義務の基準となるべきものは、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である」

2
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1
 医療契約に基づく医師の患者に対する義務に関して、過失の認定における医師の注意義務の基準は、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準であるとされるが、この臨床医学の実践における医療水準は、医療機関の特性等によって異なるべきではなく、全国一律に絶対的な基準として考えられる。

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3
34
5
 不法行為における故意・過失を認定するにあたり、医療過誤事件では診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準をもって、どの医療機関であっても一律に判断される。 (令2-34-1の類型)

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令2
34
2
 医療水準は、過失の認定における医師の注意義務の基準となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない。

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正しい 誤り
令2
34
3
 医師は、治療法について選択の機会を患者に与える必要があるとはいえ、医療水準として未確立の療法については、その実施状況や当該患者の状況にかかわらず、説明義務を負うものではない。

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正しい 誤り
令2
34
4
 医師は、医療水準にかなう検査および治療措置を自ら実施できない場合において、予後(今後の病状についての医学的な見通し)が一般に重篤で、予後の良否が早期治療に左右される何らかの重大で緊急性のある病気にかかっている可能性が高いことを認識できたときであっても、その病名を特定できない以上、患者を適切な医療機関に転送して適切な治療を受けさせるべき義務を負うものではない。

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2
34
5
 精神科医は、向精神薬を治療に用いる場合において、その使用する薬の副作用については、その薬の最新の添付文書を確認しなくても、当該医師の置かれた状況の下で情報を収集すれば足りる。

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2.3 損害賠償の範囲(416条)
 「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする」

 「2項 法改正(R02.04.01) 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる」
 改正点
・「事情を予見し、又は予見することができたとき」から「事情を予見すべきであったとき」に
 改正前においても、その趣旨は「現実に予見していたかどうか」という事実の有無を問題とするのではなく、「予見すべきであったかどうか」という規範的な評価を問題としていたので、これを明文化したものとされている。

 損害賠償の方法(417条)
 「損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める」
  中間利息の控除(417条の2法改正(R02.04.01新規)
 「将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする」
 「2項 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする」
 ポイント
@将来定期的に生じると予測される逸失利益について損害賠償の額を負う場合、その賠償方法の一つとして、予測される逸失利益を現在価値に換算して一度に支払う一時金方式がある。
 この場合、債権者はその一時金を運用することができるので、中間利息の控除とは、これを調整するためのもので、その額は、損害賠償の請求権が生じた時点から将来利益を得られであろう時点までの利息相当額であって、損害賠償請求権が生じた時点における法定利率により求める。
A将来負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合においても、将来の費用を現在価値に換算して調整(控除)するためのもので、その額は、損害賠償の請求権が生じた時点から将来負担すべき費用が発生する時点までの利息相当額であって、損害賠償請求権が生じた時点における法定利率により求める。
2.4 過失相殺(418条)法改正(R02.04.01)
 「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める」 
 改正点
・「債務の不履行」の後に、「又はこれによる損害の発生若しくは拡大」を追加。
 従来からも、債務不履行自体についての過失」のほか、「損害の発生及び損害の拡大についての過失」も含んで過失相殺がなされるものと解され、判例でも支持されてきたので、これを明文化した。

2.5 金銭債務の特則(419条)
  「法改正(R02.04.01) 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による」

 「2項 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない」
 「3項 1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」
 改正点
・1項:「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における」を追加し、適用すべき法定利率を明確化した。
2.6 賠償額の予定(420条)
 「法改正(R02.04.01) 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる」
 「2項 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない」  
 「3項 違約金は、賠償額の予定と推定する」  
 改正点
・1項:「この場合において、裁判所は、その額を増減することができない」を削除
 従来からも、多くの判例において「賠償額の予定のうち著しく過大であると認められた部分は、信義則などにより無効とされてきた」ことから、上記のような改正にいたった。
2.7 その他
 損害賠償による代位(422条
 「債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する」
 代償請求権(422条の2法改正(R02.04.01新規)
 「債務者が、その債務の履行が不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利又は利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害の額の限度において、債務者に対し、その権利の移転又はその利益の償還を請求することができる」







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5
 特別の事情によって生じた損害につき、債務者が契約締結時においてその事情を予見できなかったとしても、債務不履行時までに予見すべきであったと認められるときは、債務者はこれを賠償しなければならない。(発展)(R02改)@

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正しい 誤り
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 AがBに対して自己所有の家屋を売る契約をしたが、Bが登記を備える前に、AがBへの譲渡を知らないEに対して当該家屋を二重に売ってしまい、登記を移転してしまった場合、BがAに対して履行不能による損害賠償を請求するときは、価格が騰貴しつつあるという特別の事情があれば、転売・処分の可能性がなくても、騰貴前に処分したことが予想されない限り、騰貴した現在の価格を特別損害とすることができる。@

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中間利息の控除
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5
  将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。

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4
33
4

 不法行為に基づく損害賠償において、遅延損害金は、原則として不法行為時の法定利率によって定める。

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3
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 AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。
 残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。
 この場合、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

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正しい 誤り

3
31
 AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。
 残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。
 Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

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正しい 誤り

3
31
 AとBは、令和3年7月1日にAが所有する絵画をBに1000万円で売却する売買契約を締結した。同契約では、目的物は契約当日引き渡すこと、代金はその半額を目的物と引き換えに現金で、残金は後日、銀行振込の方法で支払うこと等が約定され、Bは、契約当日、約定通りに500万円をAに支払った。
 代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。
 この場合、Aは、Bに対して、遅延損害金のほか弁護士費用その他取立てに要した費用等を債務不履行による損害の賠償として請求することができる。
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 履







3.履行の強制(414条)法改正(R02.04.01)
 「債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制代替執行間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない」
 「同2項 前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない」
 改正点とポイント 
@旧1項「強制履行を裁判所に請求する」とだけあり、強制履行の中身がはっきりしていなかった。改正後は「直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行の強制」と明確にした
A旧2項、3項は民事執行法に移し、民法からは削除
 旧4項は新3項に。
 チョッと補足:与える債務・なす債務と強制手段
@債権は人に何かを求める権利。
A一方、何かを求められてなすべき債務の内容の代表的なものは、
・「与える債務」:たとえば、売主が売った物を引き渡す、買主が代金を支払う債務。
・「なす債務」:たとえば、債務者が働く、何かを作る、演奏をするなどの行為をする。
 「なさない債務」:たとえば、退職後起業したときに、一定期間は退職前会社と同様な業務を行わない(競業避止)なども、なす業務に含まれるとされている。
B債務の種類によって、適用できる強制手段が異なる。
・「与える債務」の場合は、直接強制が可能。
・「なす債務」の場合は、これを本人に物理的に強制することはできないので、誰か別のものにその行為を行わせてその費用を本人から取り立てる「代替執行」、あるいは、本人が履行するまで、一定の金銭の支払いを命じる「間接強制」によることになる。
 チョッと補足:履行の強制
(1)直接強制:国家権力により、債務者の意思にかかわりなく債権の内容を直接的に実現すること。
 たとえば、債務者の所有する金銭や物品を執行官に差し押さえてもらう、あるいはそれを売却して代金を取得することができる。
 金銭の支払い、物の引渡しなど物の移転を内容とする債務(与える債務)については、直接強制のみが可能である。
(2)代替執行:債権者が裁判所に請求し、その結果(債務名義)に基づいて、第三者あるいは債権者の手により、債務者に代わって債権の内容を実現させること。その費用は債務者から強制的に徴収することができる。
 たとえば、建物を取り壊すなど、他の人に代わってやってもらうことができる債務の場合に適用できる。
 民事執行法(171条 代替執行)
 「次の各号に掲げる強制執行は、執行裁判所がそれぞれ当該各号に定める旨を命ずる方法により行う」
@作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で第三者に当該作為をさせること。
A不作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすべきこと。
(3)間接強制:債務の履行を確保するために相当と認める一定額の金銭の支払いを命ずることにより、債務者を心理的に圧迫して、債権の内容を実現させること。
 民事執行法(172条 間接強制)
 「作為又は不作為を目的とする債務で前条1項(代替執行)の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う」
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 銀行から500万円を借り入れた企業が、返済の期限が到来したにもかかわらず、返済をしない場合、直接強制の方法によって債務者の債務の強制的実現を図ることができる。@

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正しい 誤り
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 建物の賃貸借契約が終了し、賃借人が建物を明け渡さなければならないにもかかわらず、賃惜人が建物を占有し続けている場合、直接強制の方法によって債務者の債務の強制的実現を図ることができる。@

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正しい 誤り
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 画家が、顧客との間で顧客の似顔絵を描く契約を結んだにもかかわらず、似顔絵を描こうとしない場合、直接強制の方法によって債務者の債務の強制的実現を図ることができる。@

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正しい 誤り
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 ある者の名誉を毀損する記事を雑誌に掲載した出版社が、名誉毀損を理由として謝罪広告の掲載を命じる確定判決を受けたにもかかわらず、謝罪広告の掲載をしない場合、履行の強制によって債務者の債務の強制的実現を図ることができる。(R2改)@

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正しい 誤り
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32
 カラオケボックスの経営者と周辺住民との間で騒音をめぐって紛争が起こり、夜12時から朝10時まではカラオケボックスの営業をしないとの合意が両者の間で成立したにもかかわらず、夜12時を過ぎてもカラオケボックスが営業を続けている場合、直接強制の方法によって債務者の債務の強制的実現を図ることができる。@

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正しい 誤り