行政書士講座(民法)

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7A

民   法 (相  続、 相 続 分、 遺 留 分)

関連過去問 7-32-310-32-110-32-210-32-310-32-410-32-511-32-ア11-32-イ11-32-エ13-30-515-30-115-30-215-30-315-30-415-30-519-35-ア19-35-イ19-35-ウ19-35-エ19-35-オ21-35-ア21-35-イ21-35-ウ21-35-エ21-35-オ22-35-ア22-35-イ24-35-ア24-35-イ24-35-ウ24-35-エ24-35-オ令3-35-ア
関連条文 相続開始の原因(882条)、相続回復請求権(884条)、相続財産に関する費用(885条)、
 
胎児の権利能力(886条)、子及びその代襲者等の相続権(887条)、直系尊属及び兄弟姉妹の相続権(889条)、配偶者の相続権(890条)、相続人の欠格事由(891条)、推定相続人の廃除(892条)、遺言による推定相続人の廃除(893条)、推定相続人の廃除の取消し(894条)、一般的効力(896条)、共同相続の効力(898条899条)共同相続における権利の承継の対抗要件(899条の2)、法定相続分(900条)、代襲相続人の相続分(901条)、遺言による相続分の指定(902条)、相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使(902条の2)、特別受益者の相続分(903条904条)、寄与分(904条の2)、相続分の取戻権(905条)
 遺産の分割の基準(906条)、遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲(906条の2)
 遺産の分割の協議又は審判等(907条)、遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止(908条)、遺産の分割の効力(909条)、遺産の分割前における預貯金債権の行使(909条の2)、相続の承認又は放棄をすべき期間(915条)、相続の承認及び放棄の撤回及び取消し(919条)、単純承認の効力(920条)、法定単純承認(921条)、限定承認(922条)、 共同相続人の限定承認(923条)、 限定承認の方式(924条)、限定承認をしたときの権利義務(925条)、相続の放棄の方式(938条)、相続の放棄の効力(939条)
 相続財産法人の成立(951条)、相続財産の管理人の選任(952条)、特別縁故者に対する相続財産の分与(958条の3)、残余財産の国庫への帰属(959条)








1.相続
 相続開始の原因(882条)
 「相続は、死亡によって開始する」 
 相続回復請求権(884条)
 「相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする」 
  相続財産に関する費用(885条)
 「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない」 
 「同2項 法改正(R01.07.01削除)
 「前項の費用は、遺留分権利者が贈与の減殺によって得た財産をもって支弁することを要しない」

 1046条の改正に伴い、遺留分に対する物権的効力(土地の贈与が遺留分を侵害する場合は、侵害の程度に応じて、遺留分権利者の物になってしまう)が否定されたので、2項の出番はなくなった。
10
32
3

 
 相続回復請求権を行使することができるのは、遺産の占有を失っている真正相続人、相続分の譲受人であるとするのが判例の立場であるが、この請求権は相続開始の時から5年で時効によって消滅する。(基礎)

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正しい 誤り
24
35
 Aは2010年10月1日に死亡したが、Aには、Dに対する遺贈以外の遺言はなく、その死亡時に妻B、長男C、長女Dおよび次男Eがいた。
 Cの相続権が侵害された場合に、CがAの死亡の時から5年以内に相続回復請求権を行使しないときは、同請求権は、時効によって消滅する。 (10-32-3の類型)

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正しい 誤り










2.相続人
 胎児の権利能力(886条)
 「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」

 「2項 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない」
 子及びその代襲者等の相続権(887条)
 「被相続人の子は、相続人となる」
 「2項 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は891条の規定(欠格事由)に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
 ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない」
 「3項 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は891条の規定(欠格事由)に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する」
 直系尊属及び兄弟姉妹の相続権(889条)
 「次に掲げる者は、887条の規定により相続人となるべき者(子及びその代襲者)がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる」
 @被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
 A被相続人の兄弟姉妹
 「2項 887条2項の規定は、前項2号の場合について準用する」 
 配偶者の相続権(890条)
 「被相続人の配偶者は常に相続人となる。この場合において、887条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする」
19
35
 Aの死亡時に、配偶者B、Bとの間の子CおよびAの母Dがいる場合において、Aが死亡した時点でCがまだ胎児であった場合には、Aを相続するのはBおよびDであるが、その後にCが生まれてきたならば、CもBおよびDとともにAを相続する。

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正しい 誤り
19
35
 Aの死亡時には、配偶者B、Bとの間の子CおよびAの母Dがいる場合において、Aの死亡と近接した時にCも死亡したが、CがAの死亡後もなお生存していたことが明らかでない場合には、反対の証明がなされない限り、Aを相続するのはBおよびDである。

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正しい 誤り








15
30
1
 Aが子Cの不行跡を理由にCを廃除していた場合、Cの子FもAの遺産を代襲相続することはできない。

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正しい 誤り
19
35
 Aの死亡時には、配偶者B、Bとの間の子CおよびAの母Dがいる場合において、Aが自己に対する虐待を理由に家庭裁判所にCの廃除を請求して、家庭裁判所がこれを認めた場合には、たとえCに子Fがいたとしても、FはCを代襲してA相続人となることはできず、Aを相続するのはBおよびDである。(15-30-1の類型)

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正しい 誤り
21
35
 相続欠格においては、被相続人の子が欠格者となった場合には、欠格者の子は代襲相続人となることができないが、相続人の廃除においては、被相続人の子について廃除が確定した場合でも、被廃除者の子は代襲相続人となることができる。(基礎)

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正しい 誤り
11
32
 代襲者が相続の開始以前に死亡し、又は相続欠格事由に該当し、若しくは廃除によってその代襲相続権を失ったときは、その者の子及び兄弟姉妹がこれを代襲して相続人となる。(21-35-エの応用)

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正しい 誤り
相続放棄と代襲相続 10
32
1
 被相続人の子が相続を放棄した場合において、その者の子は、代襲相続権を有するものではない。(基礎)

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正しい 誤り
19
35
 Aの死亡時に、配偶者B、Bとの間の子CおよびAの母Dがおり、Aが死亡した時点でCが相続の放棄をした場合において、Cに子Fがいるときには、Aを相続するのはBだけでなく、FもCを代襲してAの相続人となる。@(10-32-1の応用)

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正しい 誤り
























2.1 欠格
 相続人の欠格事由(891条)
 「次に掲げる者は、相続人となることができない」
@故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
A被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
B詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
C詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者   
D相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者  
⇒欠格事由に該当する者は法律上当然に、相続権を失う。
2.2 廃除
 推定相続人の廃除(892条)
 「遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる」  
⇒廃除は家庭裁判所に請求して認められなければ効力を生じない。
 遺言による推定相続人の廃除(893条)
 「被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。
 この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる」
 推定相続人の廃除の取消し(894条)
 「被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる」
 「2項 前条(遺言による推定相続人の廃除)の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する」
21
35
 相続欠格においては、その対象者となりうるのは全ての推定相続人であるが、相続人の廃除においては、その対象者となるのは遺留分を有する推定相続人に限られる。(発展)

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正しい 誤り
21
35
  相続欠格においては、その効果は一定の欠格事由があれば法律上当然に生ずるが、相続人の廃除においては、その効果は被相続人からの廃除請求による家庭裁判所の審判の確定によって生ずる。(基礎)

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正しい 誤り
24
35
 Aは2010年10月1日に死亡したが、Aには、Dに対する遺贈以外の遺言はなく、その死亡時に妻B、長男C、長女Dおよび次男Eがいた。
 Eが、生前Aに対して虐待をし、またはAに重大な侮辱を加えた場合には、Eは、欠格者として相続人となることができない。(基礎)

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正しい 誤り
21
35
 相続欠格においては、被相続人および同順位相続人は欠格の宥恕をすることができるが、相続人の廃除においては、被相続人は審判確定後は家庭裁判所にその取消しを請求することはできない。(応用)

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正しい 誤り
21
35
 相続欠格においては、その効果としてすべての相続にかかわる相続能力が否定されるが、相続人の廃除においては、その効果として廃除を請求した被相続人に対する相続権のみが否定される。(応用)

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正しい 誤り




















3.1 相続の効力
 一般的効力(896条)
 「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」  
⇒この場合の一身専属権(帰属上の一身専属権)とは、本人の個人的な信頼関係を基礎としたもので、本人のみに帰属する権利。例えば、委任契約に基づく権利、扶養請求権、生活保護受給権などが該当し、これらは、原則として相続の対象ではない。
 共同相続の効力(898条
 「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」
 「899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」
 共同相続における権利の承継の対抗要件(899条の2) 法改正R01.07.01新規)
 「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条(法定相続分)及び901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」
 「2項 前項の権利が債権である場合において、次条(法定相続分)及び901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。」
 改正点とポイント
@改正前は、もっぱら判例にもとづき、不動産権利の取得について、法定相続分による取得、遺言による相続分の指定による取得、特定の者に相続させる旨の遺言による取得などは、177条を適用せず、登記なくして第三者に対抗できる。
 他方、遺贈による取得、遺産分割による取得などは、登記なくして対抗することはできない。
A改正後は、1項において
・遺産分割、遺言による相続分の指定、特定の者に相続させる旨の遺言、遺贈いずれであっても、対抗要件を備える必要がある。
・ただし、対抗要件の備えが必要なのは、「法定相続分あるいは、901条による代襲相続人の相続分を超える部分に限られる。
・「法定相続分による不動産の取得」については、従来同様、登記なくして対抗できる。
・対抗要件が必要なのは、不動産だけにとどまらず、動産では「引渡し」(一定の物は登録など)、債権については、確定日付のある証書による通知と承諾が必要である。(467条1項、2項)
B2項:法定相続分、代襲相続人の相続分を超えて債権を承継した場合、本来ならば相続人全員が債務者に通知すべきところ、利益を受ける相続人が代表して通知できることに。








10
32
4
 不法行為の被害者が慰謝料請求権を放棄したものと解し得る特別な事情がない限り、当該被害者が死亡したときは、当然に慰謝料請求権は相続されるとするのが判例の立場である。@

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正しい 誤り
15
30
3
 Aには、妻Bと子C・D・Eがおり、Aが生前友人の息子Gの身元保証人になっていた場合でも、Aの相続人B・C・D・Eは、GがAの生前に使い込みをしたためAがGの使用者に対して負っていた損害賠償債務を相続しない。@

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正しい 誤り
15
30
2
 Aには、妻Bと子C・D・Eがおり、Aが相続人の一人である妻Bを受取人とする生命保険契約を締結していた場合、その死亡保険金は相続財産に含まれる。@

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正しい 誤り








3
35
 Aが死亡し、Aの妻B、A・B間の子CおよびDを共同相続人として相続が開始した。相続財産にはAが亡くなるまでAとBが居住していた甲建物がある。この場合においてAが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

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正しい 誤り












3.2 相続分
 法定相続分(900条)
 「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる」
@子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。  
A配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3の2とし、直系尊属の相続分は3分の1とする。
B配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
C子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
 ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

・旧4号ただし書き、「ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを・・・・・」における「嫡出子」部分は、H25.12.11の法改正で削除された。
 代襲相続人の相続分(901条)
 「887条2項又は3項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。
 ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める」
 「2項 前項の規定は、889条2項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する」
 遺言による相続分の指定(902条) 法改正(R01.07.01)
 「被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる」
 改正点
@1項:「ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない」とあった、このただし書きを削除 
 これは、遺留分を侵害する相続分の指定がなされた場合は、1046条により、遺留分減殺請求をすることができるため。
 「2項 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める」
  相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使(902条の2)(法改正R01.07.01新規)
 「被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条(遺言による相続分の指定)の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、900条(法定相続分)及び901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。
 ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない」

 特別受益者の相続分(903条) (法改正R01.07.01:3項改正、4項新規)
 「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、900条から902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」

 「2項 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない」

 「3項 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う」

 「4項 婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する」 
 改正点とポイント
@1項(実質的な改正なし)
・遺贈をうけた者の相続分=(相続開始時点の財産額)×相続割合ー遺贈分 (別途に、遺贈分を受けることができる)
・贈与をうけた者の相続分=(相続開始時点の財産額+贈与額)×相続割合ー贈与額 (別途に、生前に贈与を受けており、相続開始時点の財産額はその分減っている)
A2項(改正なし)
 上記@の額がマイナスになるときは、相続分は0とする(別途に、遺贈分、贈与分がある)
 その場合、他の共同相続人の相続分はマイナス分を分担するため、減額再計算となる。
B3項:
・「被相続人が1項と異なった意思を表示したときは、その意思に従う」とは、「持ち戻し免除の意志表示」といわれ、贈与あるいは遺贈は相続分を計算するときの財産から除いていてよいという意志表示がなされたときは、それに従ってよいということ。(ただし、遺留分を計算するときの財産には含まれる)
・この点について、改正前は、「遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する」とあり、持ち戻し免除の意志表示があったときでも、遺留分を侵害する部分についての意思表示は否定されて、遺留分権利者の相続分に加算され、受贈者の相続分からは減らされることになっていた。
 改正後は、「遺留分に関する規定に違反しない範囲内」は削除となった。
 即ち、遺留分の規定に反するような贈与・遺贈をしようとする被相続人の意思表示は、それとして許容するが、それを侵害されたものは、1046条による遺留分減殺請求権の行使などによって解決を図ることに。
C4項:
・婚姻期間が20年以上の夫婦の一方が相方に対して居住用の不動産を遺贈・贈与した場合は、被相続人の実際の意図はどうであったに関係なく、持ち戻し免除(実際の相続分を求める場合、ほかの相続分から不動産の価額分を差し引くことはしない)の意志があったものと推定する。

 「904条 前条(特別受益者の相続分)に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める」
⇒贈与の価額は相続開始時点での貨幣価値額・評価額であって、受贈者の行為による価格変動はないものとする。ただし、不可抗力の場合は配慮される場合もあろう。
特別利益者がある場合の相続についてのまとめ
@特別利益とは
・遺贈
・婚姻、養子縁組のため贈与された財貨
・生計の資本(大学学費、生命保険、死亡退職金など、生計の基礎として有用である、扶養の域を超えて贈与された財貨
A相続分は以下の手順により算定する
A-1みなし相続財産の算定
・相続開始の時に有していた財産の価値+特別受益としての贈与の額(遺贈の場合は加算しないことに注意)
・相続開始の時に有していた財産の価値には、債務を控除しないこと
・特別受益としての贈与の額は、相続開始時の現状で評価すること。
 金銭:贈与時の金額を相続開始時の貨幣価値に換算した値
 動産・不動産についても、相続開始時の評価額とする。受贈者による売却や毀損などがあったとしてもこれを無視する(904条)
A-2一応の相続分の算定
・「見なし相続財産」×法定相続分(あるいは指定相続分)
A-3具体的相続分の算定
・特別受益のある者:一応の相続分ー贈与額(遺贈額)
 ⇒ただし、持ち戻し免除がある場合は、 一応の相続分(控除はなし)でよい。
・特別受益のない者:一応の相続分に等しい

 寄与分(904条の2
 「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、900条(法定相続分)から902条(遺言による相続分の指定)までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする」
 「2項 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める」
 「3項 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない」
 ポイント
@ 特別の寄与をした者とは:「共同相続人であって、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をなした者」であって、その方法について1項に挙げられているのは例示にすぎない。
 夫婦間の同居・協力・扶助義務(752条)、直系血族・兄弟姉妹間の扶助義務(877条)、直系血族・親族間の助け合い(730条)など法律上の義務の履行によるのものは、通常期待されている範囲を相当に超えるものでなければ、認められるのは難しいといわれている。
A寄与分の決定:原則は「共同相続人の協議」で定めるが、決まらない場合は、寄与者の請求により、家庭裁判所が定める。
B寄与分があるときの具体的相続分の計算法
・見なし相続財産=相続開始の時に有していた財産の価値―遺贈の額―寄与分とする。
 ⇒904条の2の3項により、寄与分は遺贈に劣後する。
・一応の相続分=「見なし相続財産」×法定相続分(あるいは指定相続分)
・寄与分のある者の具体的相続分=一応の相続分+寄与分とする。
 相続分の取戻権(905条)  
 「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる」
 「2項 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない」
相続分 19
35
 Aの死亡時に、配偶者B、Bとの間の子CおよびAの母Dがおり、さらに養子Eがいる場合において、Aを相続するのはB、CおよびEであり、Eの相続分はCの相続分に等しい。@

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正しい 誤り
特別受益者の相続分 24
35
 Aは2020年10月1日に死亡したが、Aには、Dに対する遺贈以外の遺言はなく、その死亡時に妻B、長男C、長女Dおよび次男Eがいた。DがAから遺贈を受けた場合には、Aが死亡の時において有した財産の価額に遺贈の価額を加えたものを相続財産とみなし、Dの法定相続分の中からその遺贈の価額を控除した残額をもってDの相続分とする。@(令02改)(基礎)

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正しい 誤り
22
35
 Aは、海外出張に出かけたが、帰国予定の日に帰国しないまま長期間が経過した。その間、家族としては関係者および関係機関に問い合わせ、可能な限りの捜索をしたが、生死不明のまま出張から10年以上が経過した。そこで、Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって、失踪宣告がなされた。
 Aの相続人としては、妻B及び子Cの2人がいる場合において、BがAの出張前にAから誕生日に宝石をプレゼントされていたときは、Aの相続開始とされる時においてAが有していた財産の価額に、その宝石の価額を加えたものを相続財産とみなし、Bの相続分の中からその宝石の価額を控除した残額をもってBの相続分とする。@((24-35-ウの応用)

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正しい 誤り
相続分取戻 15
30
5
  Aには、妻Bと子C・D・Eがいる。
 遺産分割前にEが自己の相続分を第三者Iに譲渡した場合、一か月以内であれば、他の共同相続人は、Iにその相続分の価額および譲受けに要した費用を償還して、その相続分を取り戻すことができる。@

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正しい 誤り















3.3 遺産分割
 遺産の分割の基準(906条
 「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」
⇒遺産分割とは、共有状態にある遺産を、それぞれの相続人にその相続分に応じて分配すること。
 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲(906条の2) 法改正(R01.07.01新規)
 「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる」
 「2項 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない」
 改正点とポイント
@遺産の分割前に遺産が処分されてしまった場合、改正前までは、明文規定がなかった。たとえば、遺産分割するまでは遺産は共有の状態であるから、共同相続人が自分の持ち分を処分しても有効である。
 よって、その部分は当初から存在していなかったとして分割を進めるしかなかった。
A改正後は、共同相続人全員が同意すれば、処分された財産も遺産分割の時は遺産として存在するとみなすことができることに。
 ただし、全員の同意といっても、処分してしまった相続人は賛否をいう資格がない。

 遺産の分割の協議又は審判等(907条) 法改正(R01.07.01)
 「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる」
 「同2項 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。
 ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない」
 「同3項 前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる」
 改正点とポイント
@1項:「全部又は一部の(分割を)」を追加
A2項:「全部又は一部の(分割を)」を追加。ただし書き「ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない」を追加
 遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止(908条)
 「被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる」
 遺産の分割の効力(909条)
 「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない」  

@遺産分割の遡及効
・分割手続きが終了すると、相続開始時に分割(被相続人から相続人への承継)があったとみなされる。
A第三者の権利の保護
・第三者とは、相続開始後分割前に現れた者で、相続人からその遺産の持分を譲渡された者、担保に供された者、持分に差し押さえをした者
・第三者が、遡及効に対抗するためには、登記が必要。

 遺産の分割前における預貯金債権の行使(909条の2) 法改正(R01.07.01新規)
 「各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に900条(法定相続分)及び901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする)については、単独でその権利を行使することができる。
  この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」

0.
預貯金の相続をめぐるこれまでの経緯
 ステージ1の時代;預貯金債権は遺産分割の対象ではない。
 最高裁判例(損害賠償請求S29.04.08 )「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とする」
⇒つまりは、預貯金債権は、法律上当然に分割されるものであるから、相続分の範囲内であれば、分割協議をまたずに相続される。
 ステージ2の時代:預貯金債権は遺産分割の対象である。
 最高裁判例(遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件H29.12.19) 「共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるこ
とはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である」
⇒預貯金債権は、他の財産と同様に、遺産分割手続きを経て、相続されるものである。
@ステージ2であれば、当面の急場としてお金が必要となっても、分割手続きが終わるまでは、亡くなった人の預貯金は引き下ろせないことになってしまう(口座の凍結)
 これを回避するために、家庭裁判所への保全処分の申し立てを経ないで「払い戻し」の仕組みを導入するために、909条の2が新設された。
B預貯金債権の分割前行使(払い戻し)のポイント
・共同相続人一人一人が、単独で行使できること。
・払い戻しできる限度額は、相続開始時の預貯金債権額×(1/3+法定相続分)(ただし省令で定める上限あり)
・払い戻しの効果として、払い戻し額は、その者が取得した遺産の一部に含まれる。(取得する遺産の額より多い場合は、その分だけ返さないといけない)
24
35
 Aは2010年10月1日に死亡したが、Aには、Dに対する遺贈以外の遺言はなく、その死亡時に妻B、長男C、長女Dおよび次男Eがいた。Aの死亡の時から5年以内にB、C、D、Eの協議により遺産分割がなされない場合には、B、C、D、Eは、全員で家庭裁判所に対し遺産分割を申し立てなければならない。@ (基礎)

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正しい 誤り
13
30
5
  「甲土地は子Aに相続させる」との遺言がある場合、共同相続人全員の合意があっても、甲土地を子Bが相続する旨の遺産分割協議をすることはできない。@

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正しい 誤り
7
32
3
 被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を限度として遺産の分割を禁ずることができる。@ (基礎)
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正しい 誤り
10
32
2
 被相続人は、遺言で、遺産の全部又は一部について、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁止ずることができる。@(7-32-3の類型)

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正しい 誤り
15
30
4
 Aには、妻Bと子C・D・Eがいる。
 遺産分割前に共同相続人の一人Dから相続財産に属する不動産について共有持分を譲り受けた第三者Hは、登記がなくても他の共同相続人B・C・Eに共有持分の取得を対抗することができる。@

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正しい 誤り














4.相続の承認・放棄
4.1 相続の承認又は放棄をすべき期間(915条)
 「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
 ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる」
 「同2項  相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる」
 相続の承認及び放棄の撤回及び取消し(919条)
 「相続の承認及び放棄は、915条1項の期間内でも、撤回することができない
 「2項 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄のの取消しをすることを妨げない」
 ⇒取消し可能な場合とは、
  @未成年者が法定代理人の同意を得ないでした場合
  A成年被後見人がした場合
  B詐欺あるいは強迫によってさせられた場合
  C後見人が後見監督人の同意を得ないでした場合 
 「3項 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする」
 「4項 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」
4.2 単純承認
 単純承認の効力(920条)
 「相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する」
 法定単純承認(921条)
 「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす」
 @ 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
 A 相続人が915条1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
 B 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。  ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない」
4.2 限定承認(922条)
 「相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる」
 共同相続人の限定承認(923条)
 「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる」
 限定承認の方式(924条)
 「相続人は、限定承認をしようとするときは915条1項の期間内(相続の開始があったことを知った時から三箇月以内)に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない
 限定承認をしたときの権利義務(925条)
 「相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす」
4.3 相続の放棄の方式(938条)
 「相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない」
 相続の放棄の効力(939条)
 「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」
10
32
5
 共同相続の場合における限定承認は、相続を放棄した者を除き、共同相続人全員が共同してこれを行わなければならない。

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正しい 誤り
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35
 Aは、海外出張に出かけたが、帰国予定の日に帰国しないまま長期間が経過した。その間、家族としては関係者および関係機関に問い合わせ、可能な限りの捜索をしたが、生死不明のまま出張から10年以上が経過した。そこで、Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって、失踪宣告がなされた。
 Aの相続人として妻Bと子Cの2人がいる場合において、Aの相続についての限定承認は、BとCが共同してのみ家庭裁判所に申述することができる。(10-32-5の類型)

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正しい 誤り
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 Aは2010年10月1日に死亡したが、Aには、Dに対する遺贈以外の遺言はなく、その死亡時に妻B、長男C、長女Dおよび次男Eがいた。 Bが2010年10月1日にAの死亡を知った場合において、Bは、その時から3ヶ月以内に単独で限定承認をすることができ、相続人全員で共同してする必要はない。(10-32-5の類型)

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正しい 誤り
11
32
 相続の開始前における相続の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

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正しい 誤り
11
32
 相続人が放棄をした後に相続財産の一部を私的に消費した場合には、当該相続人は、常に単純承認をしたものとみなされる。
 

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正しい 誤り






5 相続人の不存在
 相続財産法人の成立(951条)
 「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする」
 相続財産の管理人の選任(952条)
 「前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない」
 特別縁故者に対する相続財産の分与(958条の3)
 「前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる」
⇒「前条の場合」とは、相続人捜索の公告期間(6か月以上)内に相続人の権利を主張する者がいなかった場合のこと。
⇒相続人が誰もいない場合、遺産は国有財産となるのが原則であるが、「特別縁故者」(被相続人と特別な縁故関係があった者)の請求に応じて、債権者等に清算した後の財産の全部又は一部を分与できる。
⇒「特別縁故者」とは、相続人ではないが、内縁の妻、事実上の養子、連れ子、継父母等で生計を同じくしていた者や肉親に近い情をもって看病や介護に努めた者などで家庭裁判所が財産分与が適当と認めた者
 「同2項  前項の請求は、958条の期間(相続人捜索の公告期間(6か月以上))の満了後3箇月以内にしなければならない」
 残余財産の国庫への帰属(959条)
 「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、956条2項の規定を準用する」