行政書士講座(民法)

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4D

民   法 (保 証 債 務、 連 帯 保 証)

関連過去問 7-30-17-30-27-30-37-30-47-30-513-29-113-29-213-29-313-29-521-30-ウ22-31-222-31-322-31-422-31-523-31-イ23-31-ウ23-31-エ23-31-オ26-31-ABCDE

1、保証人の責任等(446条)
 「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」
 「同2項 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」
  「同3項 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する」
 保証債務の範囲(447条)
 「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」
 「同2項 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる」  
 保証人の負担と主たる債務の目的又は態様(448条)法改正(R02.04.01)
 「保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する」

 「2項 主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」
改正点
@タイトルの変更:旧タイトルは 「保証人の負担が主たる債務より重い場合」
A2項の追加:「主たる債務が契約後に重くなったとしても、保証人の負担は変わらない」とする従来の解釈を明文化した。

 取り消すことができる債務の保証(449条)
 「行為能力の制限によって取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時においてその取消しの原因を知っていたときは、主たる債務の不履行の場合又はその債務の取消しの場合においてこれと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定する」
 保証人の要件(450条)
 「債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない」
@行為能力者であること。
A弁済をする資力を有すること。
⇒「債務者が保証人を立てる義務を負う場合」とは、
 ・保証人を立てることを条件として契約した場合、 
 ・法律に規定がある場合、
 ・裁判所の命令による場合
 「2項 保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる」
7
30
2
 保証債務は、主たる債務に関する損害賠償には及ばない。(基礎)@

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正しい 誤り
22
31
4

 

 私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となった。
 このたび、A・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけではなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張している。
 この場合、私は保証債務の履行を拒むことができる。(7-30-2の応用)@

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正しい 誤り
7
30
1
 主たる債務について違約金の定めがない場合でも、保証債務についてのみ違約金の定めをすることができる。(基礎)@

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正しい 誤り
7
30
3
 保証人は、行為能力者であることが必要である。(基礎)@

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正しい 誤り


















2.催告の抗弁・検索の抗弁・分別の利益など
2.1 催告の抗弁(452条)
 「債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない」
⇒普通保証人の場合は、1回目の請求に限り、まず主たる債務者に催告せよと抗弁することができる。 

 検索の抗弁(453条)
 「債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない」 

 催告の抗弁及び検索の抗弁の効果(455条)
 「452条又は453条の規定により保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる」

 数人の保証人がある場合(456条) 分別の利益
 「数人の保証人がある場合、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、427条の規定を適用する」
⇒普通保証人の場合、別段の意思表示がない限り、責任は人数割りになる。
 つまり、主たる債務の額を保証人の数で割った額についてのみ保証債務を負担することになる。

2.2 事由の効力(絶対効・相対効)
 主たる債務者について生じた事由の効力(457条)法改正(R02.04.01)
 「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる」
⇒主たる債務者について生じた時効に関わることは、保証人にも及ぶ絶対効 

 「同2項 保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる」

 「同3項 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる」

改正点
@1項:「(時効の)中断」から「(時効の)完成猶予及び更新」に
A2項:「(債務者)の債権による相殺」から「(債務者)が主張することができる抗弁」に
⇒「相殺に限らず主債務者が債権者に対して抗弁を主張することができる場合は、保証人も債権者にそお抗弁を持って対抗できる」という従来からの解釈を明文化した。
B3項追加:「主債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらを行使すれば主債務者が債務を免れるべき限度において、保証人は、債務の履行を拒むことができる」という従来からの解釈を明文化した。
ポイント
@主債務者に生じた事由の効力
 原則:保証人にも効力が及ぶ(保証債務の付従性)
 例外:時効の利益の放棄の効果は保証人には及ばない
    そのほか、債務の加重(448条2項)など
A保証人について生じた事由の効力
 原則:主たる債務を消滅させる行為(弁済、代物弁済、供託、相殺)の他は、主債務者に影響なし。
 ⇒保証人に履行を請求しても、主たる債務の時効に対する影響はない。
 例外:連帯保証人については例外がある。こちらを

 主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務(458条の2) 法改正(R02.04.01新規)
 「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない」
 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務(458条の3)法改正(R02.04.01新規)
 「主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない」
 「同2項 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く)に係る保証債務の履行を請求することができない」
 「同3項 前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない」
























2.3 連帯保証人
 連帯保証の場合の特則(454条)
 「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前2条の権利(催告の抗弁権と検索の抗弁権)を有しない
 連帯保証人に生じた事由の効力(458条)法改正(R02.04.01)
 「438条(連帯債務者の一人との間の更改)、439条1項(連帯債務者の一人による相殺)、440条(連帯債務者の一人との間の混同)及び441条(相対的効力の原則)の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する」
@更改(438条の読替え) 「連帯保証人の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯保証人の利益のために消滅する」
A相殺の援用(439条1項の読替え) 「連帯保証人の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯保証人が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯保証人の利益のために消滅する」
B混同(440条の読替え) 「連帯保証人の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯保証人は、弁済をしたものとみなす」
C相対的効力の原則(441条の読替え) 
  「更改、相殺の援用及び混同に規定する場合を除き、連帯保証人の一人について生じた事由は、他の連帯保証人に対してその効力を生じない。
 ただし、債権者及び他の連帯保証人者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯保証人に対する効力は、その意思に従う」 

 相殺のうち439条2項(相殺を援用しない間)、履行の請求(旧434条)、免除(旧437条)については援用されていない。
履行の請求、免除は絶対効から相対効に
 連帯保証人の分別の利益と求償権(465条の読替え)
 連帯保証人の場合は、主たる債務の全額について保証債務を負担することになるので、分別の利益を有しない」
 よって、465条1項の「分別の利益を持たない場合」と同様な状況にあることから、442条を準用して、
 「連帯保証人の一人が弁済(代物弁済を含む)したときは、主たる債務者あけでなく、他の連帯保証人にも求償できる」

@連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担すること。
A連帯保証人の場合は、何人いようとそれぞれが債務の全額を主たる債務者と連帯して負うことになる。(
B連帯保証人は全額を弁済しないといけない。(分別の利益なし)
 しかし、一人で弁済した場合、主たる債務者のほか他の連帯保証人にも求償できる
C連帯保証人の場合
・主たる債務者よりも前に債務の履行を請求されたとしてもこれを拒絶できない。(催告の抗弁権なし)
・主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明したとしても、まず主たる債務者の財産を強制執行せよと抗弁することはできない。(検索の抗弁権なし)
D主たる債務者について生じた事由の効力は、すべて連帯保証人に及ぶ。(保証債務の付従性)
E連帯保証人について生じた事由の効力
・絶対効(更改,相殺、混同)及び弁済、代物弁済など、主たる債務を消滅させる行為は、主債務者にも効力が及ぶ。
・相対効(履行の請求、免除など)については、主債務者に効力が及ばない。
7
30
4
 連帯保証人は、催告の抗弁権及び検索の抗弁権をもつ。(基礎)@

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正しい 誤り
13
29
1
 AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。
 この債務の弁済期到来後、Bが、主債務者Aに請求しないでいきなりCに1000万円弁済せよと請求してきた場合、CはBに対してまずAに請求せよと抗弁することができる。(7-30-4の応用)@

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正しい 誤り
13
29
2
 AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。
 この債務の弁済期到来後、Bが、Cに1000万円弁済せよと請求してきた場合、Cは500万円しか弁済する義務はない。(基礎))@

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正しい 誤り
13
29
5
 AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。
 この債権の弁済期到来後、CがBに1000万円全額を支払った場合、CはAには求償できるが、Dに対しては求償することができない。(基礎)@

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正しい 誤り
23
31
  連帯債務において、連帯債務者の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償することができる。
 これに対し、連帯保証において、連帯保証人の1人が債務の全額を弁済した場合には、その連帯保証人は、他の連帯保証人に対し、求償することはできない。(13-29-5の応用)@

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正しい 誤り
13
29
3
 AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。
 この債務の弁済期到来後、BがCに対して弁済請求訴訟を提起して勝訴した場合、Aに対しても時効の完成猶予及び更新の効力が生じる。(R02改)@

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23
31
 連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対してした債務の履行の請求は、他の債務者にも効力を生じる。これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対してした債務の履行の請求は、主たる債務者に対して効力が生じることはなく、主たる債務についての時効の完成猶予及び更新の効力は生じない。(13-29-3の応用)(R02改)@

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正しい 誤り
23
31
 連帯債務において、債権者が連帯債務者の1人に対して債務を免除した場合には、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者は債務を免れる。
 これに対し、連帯保証において、債権者が連帯保証人に対して債務を免除した場合には、主たる債務者はその債務の全額について免れることはない。@

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正しい 誤り
23
31
 連帯債務において、連帯債務者の1人のために消滅時効が完成した場合には、 他の連帯債務者はこれを援用して時効が完成した債務の全額について自己の債務を免れることができる。
 これに対し、連帯保証において、連帯保証人のために時効が完成した場合には、主たる債務者はこれを援用して債務を免れることはできない。@

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正しい 誤り














3.求償権
 委託を受けた保証人の求償権(459条)法改正(R02.04.01、1項のみ) 
 「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為(債務の消滅行為という)をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額)の求償権を有する」
改正点とポイント

・主債務者の委託を受けて保証人となり、弁済等によって債務を消滅させた場合は、求償権が発生するが、求償権の範囲は、支出した額と消滅した債務の額のいずれか小さい方とすることを明確にした。
・なお、「過失なく債権者済をすべき旨の裁判の言渡しを受け」たときとあった部分は、事前の求償権を認める460条の3号に移動。
 「同2項 442条2項(連帯債務者間の求償権の範囲)の規定は、前項の場合について準用する」 
⇒主たる債務者に対して利息、弁済のための費用、損害賠償などを含めて求償できる。
 保証人間同士の求償については、465条を適用
 委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権(459条の2)法改正(R02.04.01新規)
 「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。
 この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる」
 「2項 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する」
 「3項 1項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない」
改正点とポイント 
 委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権の時期・範囲については、規定がなかった。
1項:弁済期前に弁済することは、保証の委託の趣旨に反する面もあるので、その場合の事後求償権の範囲を、旧462条(主たる債務者の委託を受けない保証人の求償権)の趣旨と同様なもの(主たる債務者がその当時(保証人が掃滅行為を行った当時)利益を受けた限度」に限るとした。
 なお、改正後462条1項は、本条1項を準用するという形式になっている。
3項:期限前弁済の場合の求償権は、弁済期以後でなければ行使できない旨を明文化した。
 委託を受けた保証人の事前の求償権(460条)
 「保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる」
@主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
A債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
B法改正(R02.04.01)保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき。
⇒改正前の旧459条にあった「過失なく債権者済をすべき旨の裁判の言渡しを受け」たときは(事前の)求償権を取得する旨の規定を、こちらの3号に移動させた。
 委託を受けない保証人の求償権(462条)法改正(R02.04.01、1項改正、3項新設)
 「459条の2の1項(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)の規定は、主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合について準用する」
 「同2項 主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる」
 「同3項 459条の2の3項(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権の行使時期)の規定は、前二項に規定する保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合における求償権の行使について準用する」
改正点とポイント 
@1項:「委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合の求償権」は、「委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権」の規定を準用する。こちらを参照のことに
 具体的には、「債務の消滅行為をした当時、主債務者が受けた利益を限度」に求償できる。
 459条の2の2項「求償は、弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含」は準用されていない。
A2項:主債務者の意思に反して保証をした者の求償権の範囲は、
・委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合。
・委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合
 と同じく、「求償の請求がなされた当時、主債務者が受けた利益を限度に求償できる」
B3項:保証人が主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をした場合の求償権の行使は、「弁済期以後
  通知を怠った保証人の求償の制限等(463条)法改正(R02.04.01、1項と2項改正、3項新設)
 「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗すことができた事由をもってその保証人に対抗することができる。
 この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる」
 「2項 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる」
「3項 保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる」
改正点とポイント 
@1項:趣旨は改正前と同じであるが、特に、「主債務者の委託を受けた保証人」であることと、「主債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたとき」であることを明確にして、保証人が事前通知を怠った時は、保証人の求償権は制限を受ける。
A2項:趣旨は改正前と同じである。すなわち、主債務者が債務の消滅行為をしたことを、主債務者の委託を受けた保証人に事後通知することを怠ったため、保証人が善意で債務の消滅行為をした場合は、保証人の消滅行為が優先され、保証人の求償権も認められる。
B3項:趣旨は改正前443条2項(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)と同様である。すなわち、
・保証人が主たる債務者の意思に反して保証をした
・保証人が債務の消滅行為をしたことの主債務者への事後通知を怠ったため、
 保証人が債務の消滅行為をした後に主債務者が善意で債務の消滅行為をした場合は、保証人の求償権は認められない。
 共同保証人間の求償権(465条)
 「442条(連帯債務者間の求償権)、443条(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)、444条(償還をする資力のない者の負担部分の分担)の規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する」  
 「同2項 462条(委任を受けない保証人の求償権)の規定は、前項に規定する場合を除き、互いに連帯しない保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する」
   全額、あるいは自己の負担額を超えて弁済した場合  他の保証人に対する求償
1項  分別の利益を持たない場合(原則は頭割り負担であるが、分割できない債務や特約のため)  連帯債務と同様に求償できる
2項  分別の利益を持つ場合  委託されていないことを行う事務管理の問題となり、「利益を受けた限度」において、請求できる。
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 Eは知人FがGより100万円の融資を受けるにあたり、保証(単純保証)する旨を約した。弁済期後、GはいきなりEに対して保証債務の履行を求めてきたので、Eはまずは主たる債務者に催告するよう請求した。
 ところがGがFに催告したときにはFの資産状況が悪化しており、GはFから全額の弁済を受けることができなかった。
 この場合、EはGが直ちにFに催告していれば弁済を受けられた限度で保証債務の履行を免れることができる。@

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正しい 誤り
7
30
5
 保証人は、主たる債務者のもつ反対債権による相殺をもって、債権者に対抗することはできない。(基礎)@

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正しい 誤り
22
31
2
 私は、AがBから金銭の貸付を受けるに当たり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定した。このたび、Aの債務の期限が到来したが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子が見られず、抵当権が実行されるのはほぼ確実な状態である。
 この場合、私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておくことが可能である。@

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正しい 誤り
26
31
A
B
C
D
E
 AがBから金1000万円を借り受けるにあたって、CおよびDがそれぞれAから委託を受けて保証人(連帯保証人ではない通常の保証人で、かつお互いに連帯しない保証人)となり、その後CがBに対して、主たる債務1000万円の全額を、同債務の弁済期日に弁済した。
 なお、CD間には負担部分に関する特段の合意がないものとする。
 この場合、正しいものはどれか。
A:CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権
行使までに生じた利息、遅延損害金に及び、Dに対しては、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。
B:CはAおよびDに対して求償することができ、求償権の範囲は、Aに対しては、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及び、Dに対しては、500万円である。
C:CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、1000万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。
D:CはAに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金等に及ぶ。なお、CD間には負担部分に関する特段の合意がないものとする。
E:CはDに対してのみ求償することができ、求償権の範囲は、500万円および求償権行使までに生じた利息、遅延損害金に及ぶ。なお、CD間には負担部分に関する特段の合意がないものとする。
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A B C D E
22
31
5
 私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人になった。その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結んだ。
 このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済したが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能である。@

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正しい 誤り
 貸金等の根保証契約 4.個人根保証契約
 個人根保証契約の保証人の責任等(465条の2)法改正(R02.04.01、1項、2項、3項)
 「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う」
 「2項 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」
 「3項 446条2項及び3項(保証契約の有効条件としての書面・電磁的記録)の規定は、個人根保証契約における1項に規定する極度額の定めについて準用する」
改正点とポイント 
@タイトルの中の「貸金等根保証契約」を「個人根保証契約」に。
 これに伴い、2項、3項中の「貸金等根保証契約」は「個人根保証契約」に。
 個人貸金等根保証契約の元本確定期日(465条の3)法改正(R02.04.01、1項、2項、3項、4項)
 「個人根保証契約であってその主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担
する債務(以下「貸金等債務」という)が含まれるもの(以下「個人貸金等根保証契約」という)において主たる債務の
元本の確定すべき期日(以下「元本確定期日」という)の定めがある場合において、その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じ貸金等根保証契約の元本確定期日の定めは、その効力を生じない」
  「2項 個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合(前項の規定により元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含む)には、その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とする」
 「3項 個人貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じない。ただし、元本確定期日の前か2か月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは、この限りでない」
 個人根保証契約の元本の確定事由(465条の4)
 「次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、1号に掲げる
場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る」
@債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
A保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
B主たる債務者又は保証人が死亡したとき。
 「2項 前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。ただし、1号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る」
@債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
A主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
 保証人が法人である根保証契約の求償権(465条の5)法改正(R02.04.01、1項、2項、3項)
 「保証人が法人である根保証契約において、465条の2の1項(個人根保証契約の保証人の責任限度)に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない」
 「2項 保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定め若しくはその変更が465条の3の1項(個人貸金等根保証契約の元本確定期日)若しくは3項(5年を経過する日より後の日となるときは効力を生じない)の規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。
 主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする」
 「3項 前2項の規定は、求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に求償権に係る債務が含まれる根保証契約の保証人が法人である場合には、適用しない」
4.2 事業に係る債務についての保証契約の特則 
 公正証書の作成と保証の効力(465条の6) 法改正(R02.04.01新規)
 「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない」
 「2項 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。
@保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。
イ 保証契約(ロに掲げるものを除く):主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
ロ 根保証契約:主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は465条の4の1項各号若しくは2項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。
A公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。
B保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
⓸公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
 「3項 前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない」
 保証に係る公正証書の方式の特則(465条の7)法改正(R02.04.01新規)
 「前条1項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が口がきけない者である場合には、公証人の前で、同条2項1号イ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、同号の口授に代えなければならない。この場合における同項2号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする」
 「2項 前条1項の保証契約又は根保証契約の保証人になろうとする者が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条2項2号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により保証人になろうとする者に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる」
 公正証書の作成と求償権についての保証の効力(465条の8)法改正(R02.04.01新規)
 「465条の6の1項及び2項項並びに前条の規定は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約について準用する。主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする」
 「2項 前項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない」
 公正証書の作成と保証の効力に関する規定の適用除外(465条の9)法改正(R02.04.01新規)
 「前三条の規定は、保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない」
@主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者
A主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者
イ 主たる債務者の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除く。以下この号において同じ。)の過半数を有する者
ロ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ハ 主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社及び当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者
ニ 株式会社以外の法人が主たる債務者である場合におけるイ、ロ又はハに掲げる者に準ずる者
B主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号において同じ。)と共同して事業を行う者又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者
 契約締結時の情報の提供義務(465条の10)法改正(R02.04.01新規)
 「主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない」
@財産及び収支の状況
A主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
B主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容
 「2項 主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる」
 「3項 前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない」
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 私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶに当たり、取引開始時から3ヶ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。
 このたび、この期間内のA・B間取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。
 この場合、甲は保証債務の履行を拒むことができる。@

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