行政書士講座(民法) |
民法過去問 | 民法条文 | 民法判例 | ホーム |
3F | 民 法 (譲渡担保) | ||
関連過去問 関連過去問 24-30-1、24-30-2、24-30-3、24-30-4、24-30-5、29-29-ウ、元年ー29-5、令5-29-1、令5-29-2、令5-29-3、令5-29-4、令5-29-5 | |||
譲 渡 担 保 |
譲渡担保 譲渡担保とは、金銭などを借り受けるなどの場合において、その担保として動産・不動産の所有権を形式上、債権者に譲渡するもので、債権者は債務者に対して債務の弁済を請求する権利を有するが、一方、担保以外のためにその所有権を行使しない義務を負うなど、互いの信用の授受を債権・債務という形で残しておこうという、非典型的な(民法に規定がない)担保物権の一つである。 たとえば、AはBから融資を受けるが、その担保として工場の機械の所有権を一旦Bに移転させる。しかしながら、Aはその機械の占有(使用)を続け、一定期間後、融資債務を弁済することによって、機械の所有権を取り戻すなどの例が考えられる。 譲渡担保権の実行 債務者による債務の弁済の不履行・遅滞が生じた場合、以下により担保権を行使することができる。 ・債権者が担保目的物の占有を取得していること。債務者が占有している場合は、引き渡しを請求できる。 ・上記において、目的物の引き渡しを請求する場合は、清算金(目的物の価値と債権額の差額)があれば、これを支払わなければならない。(清算金の支払いと目的物の引き渡しは同時履行の関係にある) ・実行には、 @債権者自らが清算金を支払い、目的物の所有権を確定させる方法(帰属清算型) A債権者が目的物を第三者に処分して、その代価から優先弁済を受けた後、残額を債務者に清算金として返還する方法(処分清算型) 受戻権 債務者が債務の全額を弁済し、譲渡担保権は消滅させて目的物の所有権を回復する権利のことをいう。 集合物譲渡担保 集合物とは、個々の物を集合した全体が経済的に一つの価値を有し取引上も一体として取り扱われる場合の、その物の集りをいう。 たとえば、ある倉庫内にある在庫品は量的、内容的に日々変動するであろうが、その種類・所在場所・量的範囲などを指定するなどして、目的物の範囲が特定できるようにすれば、その集合物を一つの物とみなして、譲渡担保が可能であるとされている。 動産の譲渡担保における対抗要件 178条「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない」とその関連過去問を参照のと。 | ||
集合動産の譲渡担保 |
令 5 29 1 |
Aが家電製品の販売業者のBに対して有する貸金債権の担保として、Bが営業用動産として所有し、甲倉庫内において保管する在庫商品の一切につき、Aのために集合(流動)動産譲渡担保権を設定した。 この場合、判例に照らすと、構成部分が変動する集合動産についても、その種類、場所および量的範囲が指定され、目的物の範囲が特定されている場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができ、当該集合物につき、AはBから占有改定の引渡しを受けることによって対抗要件が具備される。(基礎) |
|
| |||
29 29 ウ |
構成部分の変動する集合動産について、一括して譲渡担保の目的とすることは認められない。(令5-29-1の類型) | ||
解説を見る |
| ||
集 合 債 権 の 譲 渡 担 保 |
24 30 4 |
集合債権の譲渡担保において、それが有効と認められるためには、契約締結時において、目的債権が特定されていなければならず、かつ、将来における目的債権の発生が確実でなければならない。(発展) | |
解説を見る |
| ||
24 30 5 |
集合債権の譲渡担保において、当該譲渡につき譲渡人から債務者に対して確定日付のある証書によって通知が行われた場合、その対抗要件具備の効力は、将来において発生する債権についても及ぶ。 (難問) | ||
解説を見る |
| ||
集 合 動 産 譲 渡 担 保 の 対 抗 要 件 |
24 30 2 |
集合動産の譲渡担保において、債権者が譲渡担保の設定に際して占有改定の方法により現に存する動産の占有を取得した場合、その対抗要件具備の効力は、その構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となった動産についても及ぶ。 (令5-29-1の類型) | |
| |||
元 年 29 5 |
集合動産譲渡担保が認められる場合において、種類、量的範囲、場所で特定された集合物を譲渡担保の目的とする旨の譲渡担保権設定契約が締結され、占有改定による引渡しが行われたときは、集合物としての同一性が損なわれない限り、後に新たにその構成部分となった動産についても譲渡担保に関する対抗要件の効力が及ぶ。(24-30-2の類型) | ||
| |||
令 5 29 2 |
Aが家電製品の販売業者のBに対して有する貸金債権の担保として、Bが営業用動産として所有し、甲倉庫内において保管する在庫商品の一切につき、Aのために集合(流動)動産譲渡担保権を設定した。 この場合、判例に照らすと、本件譲渡担保権の設定後に、Bが新たな家電製品乙を営業用に仕入れて甲倉庫内に搬入した場合であっても、集合物としての同一性が損なわれていない限り、本件譲渡担保権の効力は乙に及ぶ。 (24-30-2の類型) |
||
解説を見る |
| ||
令 5 29 5 |
Aが家電製品の販売業者のBに対して有する貸金債権の担保として、Bが営業用動産として所有し、甲倉庫内において保管する在庫商品の一切につき、Aのために集合(流動)動産譲渡担保権を設定した。 この場合、判例に照らすと、甲倉庫内の在庫商品の中に、DがBに対して所有権留保特約付きの売買契約によって売却した家電製品丁が含まれており、Bが履行期日までに丁の売買代金をDに支払わないときにはDに所有権が留保される旨が定められていた場合でも、丁についてAが既に占有改定による引渡しを受けていたときは、Aは、Dに対して本件譲渡担保権を当然に主張することができる。(発展) |
||
解説を見る |
| ||
先取特権との関係 | 令 5 29 4 |
Aが家電製品の販売業者のBに対して有する貸金債権の担保として、Bが営業用動産として所有し、甲倉庫内において保管する在庫商品の一切につき、Aのために集合(流動)動産譲渡担保権を設定した。 この場合、判例に照らすと、甲倉庫内の在庫商品の中に、CがBに対して売却した家電製品丙(以下「丙」という)が含まれており、Bが履行期日までに丙の売買代金を支払わない場合、丙についてAが既に占有改定による引渡しを受けていたときは、Cは丙について動産先取特権を行使することができない。 (発展) |
|
解説を見る |
| ||
設 定 者 に よ る 売 却 処 分 権 |
24 30 3 |
集合動産の譲渡担保において、設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をしたときは、当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできない。 (24-30-2の発展) | |
| |||
令 5 29 3 |
Aが家電製品の販売業者のBに対して有する貸金債権の担保として、Bが営業用動産として所有し、甲倉庫内において保管する在庫商品の一切につき、Aのために集合(流動)動産譲渡担保権を設定した。 この場合、判例に照らすと、本件譲渡担保権の設定後であっても、通常の営業の範囲に属する場合であれば、Bは甲倉庫内の在庫商品を処分する権限を有する。(24-30-3の発展) |
||
| |||
譲渡担保の実行 |
24 30 1 |
不動産の譲渡担保において、債権者はその実行に際して清算義務を負うが、清算金が支払われる前に目的不動産が債権者から第三者に譲渡された場合、原則として、債務者はもはや残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできず、このことは譲受人が背信的悪意者にあたるときであっても異ならない。 (発展) | |
|