行政書士講座(民法)

民法過去問 民法条文 民法判例 ホーム
5C

民   法 (消費貸借、使用貸借、賃貸借)

関連過去問 3-30-23-31-13-31-23-31-33-31-43-31-55-30-15-30-210-30-110-30-310-30-410-30-518-30-118-32-イ18-32-オ18-33-ア18-33-イ18-33-ウ18-33-エ、18-33-オ20-30-ウ21-32-ウ21-32-エ21-3324-29-324-32-324-33-1、24-33-224-33-324-33-424-33-525-32-エ25-32-オ26-32-オ27-30-529-31-429-33-129-33-430-32-ア30-32-イ30ー32-ウ30-22-エ30ー32-オ令元ー32-イ令元32-ウ令元ー32-エ令2-32-3令2-33-1、令2-33-2令2-33-3令2-33-4令2-33-5

1.消費貸借
 消費貸借(587条)
 「消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」

@消費貸借とは、お金、米やみそ醤油などの消費品を貸し、借主は借りたものその物でなくても、それと同じ種類・品質・数量の物を返す約束し、実際に借主がこれらを受け取ったときに成立する契約
A物を受け取ることによって成立する要物契約
Bただし例外的に、次条に基づく諾成的消費貸借契約もある。
 書面でする消費貸借等(587条の2法改正(R02.04.01新規)
 「前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる」
 「同2項 書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる」
 「同3項 書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う」
 「同4項 消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する」

@1項:「書面でする消費貸借契約」が、諾成契約(諾成的消費貸借契約)として認められた。
 対象は、「金銭その他の物」であり、利息付か否かは問われない。
A2項:
・借主は、金銭等の受取り前であれば、理由なく契約の解除ができる。
・貸主は、その際に損害受けたときは、損害賠償請求ができる。
B3項:金銭等をの受け取り前に、どちらかが破産手続開始の決定を受けたときは、契約の効力を失う。
C4項:電子メール等も書面として認めた。
 利息(589条) 法改正(R02.04.01:実質的には新規)
 「貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない」。
 「2項 前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる」

@改正前には、利息に関する規定がなかった。
A改正後は、原則は無利息であるが、利息を発生させるためには特約が必要であることを明文化した。
 貸主の引渡義務等(590条) 法改正(R02.04.01:改正前の「貸主の担保責任」を全面改正新規)
 「551条(贈与者の引き渡し義務等)の規定は、前条1項の特約のない消費貸借について準用する」
 「2項 前条1項の特約の有無にかかわらず、貸主から引き渡された物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、借主は、その物の価額を返還することができる」
 改正点とポイント 
@旧590条(消費貸借契約における瑕疵担保責任)は、562条(買主の追完請求権)による代替物の引渡しなどの請求権、564条(損害賠償請求権などの行使)の規定が適用されることとなったことに伴い、内容重複により削除となった。
A1項:無利息の消費貸借の場合は、貸主は、契約を締結したときの状態で引き渡せば、その内容が不適合であったとしても、担保責任は問われない」
B2項:利息の有無に関わらず、引き渡された物が種類又は品質に関して契約不適合であるときは、同程度の不適合品の返還は困難であるから、その物の価額(その物の価値を評価した額)を返還すれば、返還義務を果たしたことになる。
 返還の時期(591条)
 「当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる」
 「2項 法改正(R02.04.01太字部分追加) 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる」
 「3項 法改正(R02.04.01追加) 当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる」 
 価額の償還(592条)
 「借主が貸主から受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることができなくなったときは、その時における物の価額を償還しなければならない」
⇒借りた物と同じ種類・品質・数量の物を返すことができない場合は、その価値をお金に換算して返す。
18
32
 消費貸借については、返還時期の合意がないときには、貸主の請求があれば借主は直ちに返還しなければならない。@

解説を見る

正しい 誤り
使



















2.使用貸借(593条) 法改正(R02.04.01)
 「使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる」 

@「使用貸借」を要物契約から諾成契約に改めた。すなわち、物を引き渡してからではなく、契約の成立時点から法的拘束力が発生する。
A契約が終了したときの返還義務を明示した。
 参考までに、旧593条は「使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還することを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる」
 借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除(593条の2法改正(R02.04.01新規)
 「貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない」

@借主が物を受け取る前であれば、貸主に解除権を認めた。(ただし、「書面による使用貸借」の場合は、認められない)
A借主は、「書面による使用貸借」の場合であっても、契約を解除できる。
 借主による使用及び収益(594条
 「借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない」
 「同2項 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない」 
 「同3項 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる」
 借用物の費用の負担(595条)
 「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」
⇒「通常の必要費」とは、目的物の現状維持に必要な補修費、修繕費などの類。
 「同2項 583条2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する」
⇒通常の費用以外の費用(特別の費用と有益費)は貸主に対して償還請求ができる。
   貸主の引渡義務等(596条法改正(R02.04.01タイトルを「貸主の担保責任」から変更)
 「551条(贈与者の引渡義務等)の規定は、使用貸借について準用する」
⇒使用貸借の貸主は、使用貸借の目的である物を、使用貸借の目的として特定した時の状態で引渡しすることを約したものと推定する」
 期間満了等による使用貸借の終了(597条) 法改正(R02.04.01、旧597条(借用物の変換の時期)の内容を実質的に維持した上で、返還の時期ではなく契約の終了という観点から書換えを行った)
 「当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する」
⇒旧597条1項は、「借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない」とあった。
 「同2項 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する」
 「同3項 使用貸借は、借主の死亡によって終了する」
 使用貸借の解除(598条法改正(R02.04.01、旧597条(借用物の変換の時期)の内容を実質的に維持した上で、解除権の発生も契約の終了事由となることを明確にした)
 「貸主は、前条2項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる」
 「同2項 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる」
 「同3項 借主は、いつでも契約の解除をすることができる」
 借主による収去等(599条法改正(R02.04.01、旧598条を全面書換え)
 「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。
 ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない」

 「同2項 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる」
 「同3項 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
 ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」
 改正点とポイント 
@1項;借用物を受け取った後にこれに附属された物がある場合、借主に収去(完全に取り払う)義務があることを明文化した。(改正前は、収去できる権利だけが明文化されていた)
 また、この収去義務は、附属物の所有権が誰にあるかに関わらず適用されるが、借用物から分離できない物又は分離するのに過分の費用を要する物については免責となる。
A2項:借用物を受け取った後にこれに附属された物がある場合、借主には附属物を収去できる権利がある。(旧598条とほぼ同じ内容)、
B3項:借用物を受け取った後に生じた損傷について、借主に帰責事由がある場合は、借主に、その損傷の原状回復義務があることを明文化した。 
 損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限(600条)
 「契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない」
 「同2項 法改正(R02.04.01追加) 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない」

 用法違反等による損害賠償請求権は、債権等の消滅時効(166条1項)により、違反したときから10年(知った時から5年)で時効消滅となるはずであるが、使用貸借期間中の違反の把握は困難であることが多いので、2項の特例により、使用物の返還を受けてから1年は、消滅時効にかからないこととした。
30
32
 使用貸借においても、賃貸借においても、借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければならない。 @

解説を見る

正しい 誤り
30
32
 使用貸借においても、賃貸借においても、契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償および借主が支出した費用の償還は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。  @

解説を見る

正しい 誤り
30
32
 使用貸借においても、賃貸借においても、借主は、目的物の使用および収益に必要な修繕費を負担しなければならない。 @

解説を見る

正しい 誤り
24
32
3
 使用貸借においては、借用物の通常の必要費については借主の負担となるのに対し、有益費については貸主の負担となり、その償還の時期は使用貸借の終了時であり、貸主の請求により裁判所は相当の期限を許与することはできない。 @

解説を見る

正しい 誤り
30
32
 使用貸借においても、賃貸借においても、借主は、目的物を返還するときに、これに附属させた物を収去することはできない。 @

解説を見る

正しい 誤り
30
32
 使用貸借においても、賃貸借においても、貸借契約は、借主の死亡によって、その効力を失う。@

解説を見る

正しい 誤り
3
30
2
 使用貸借は、賃貸借と同様に借主の死亡によりその効力を失う。@ (30-32-ウの類型)

解説を見る

正しい 誤り
5
30
1
 使用貸借契約は、借主が死亡することによって終了する。@ (30-32-ウの類型)

解説を見る

正しい 誤り



3.賃貸借
 賃貸借(601条) 法改正(R02.04.01 太字部分を追加)
 「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる」

・賃貸者契約は、双務、有償、諾成契約である。 
・賃貸借においても、契約終了後、借主は目的物を返還しなけれならないことは自明とされていたので、これを明文化した。
 短期賃貸借(602条) 法改正(R02.04.01 冒頭の「処分につき行為能力の制限を受けた者又は]を削除。太字部分を追加)
 「処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。
 契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする

@樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
A前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
B建物の賃貸借 3年 
C動産の賃貸借 6か月

@賃貸借は処分行為(財産の性質を変更する行為、物理的に財産の現状を変更するなどの事実的処分行為と,所有権の移転などの法律的処分行為とがある)ではないため、処分の権限を有しない者が、管理行為として賃貸借を行う場合は、上記の対象と期間に限定されている。
⇒契約によっても、期間を延長することはできない。
A法改正により、「処分につき行為能力の制限を受けた者」は、本条の対象外とした。
⇒これらの者が短期賃貸借をできるか否かについては、制限行為能力者に関する個別の規定による。
 賃貸借の存続期間(604条) 法改正(R02.04.01 20年から50年に)
 「賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする」
 「2項 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない」
 不動産賃貸借の対抗力(605条) 法改正(R02.04.01:字句の修正)
 「不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる」
 改正点とポイント 
@「売買は賃貸借を破る」とよくいわれているが、605条はその例外であり、不動産の賃借について登記をすれば、所有者が変わっても、新しい所有者を賃貸者として賃借を続けることができる。
 この点に関しては、特別法である「借地借家法」において、賃借者にとってさらに有利な規定が設けられている。
A旧605条は「不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生じる]とあった。
 改正点は、
・「その後その不動産について」のその後を取る:登記の前に既に登場している第三者に対しても、対抗できることに。
・「その他の第三者」を追加:譲り受け人だけでなく、二重に賃借した者、差押えをした者などその他の第三者に対しても対抗できることに。
・その効力を生ずる」は「対抗することができる」に。単なる表現上の問題
  不動産の賃貸人たる地位の移転(605条の2) 法改正(R02.04.01新規)
 「前条借地借家法10条又は31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する」
 「2項 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。
 この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する」
 「3項 1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」
 「4項 1項又は2項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、608条(の規定による費用の償還に係る債務及び622条の2の1項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する」
 改正点とポイント 
@1項:これまでの判例法理などを踏まえて、「賃貸借の対抗要件を備えている場合は、その不動産が譲渡されたときは、賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を得ることなく、譲受人に当然に移転する」ことを明文化した。
 このことは、「賃貸借の対抗要件を備えている場合、不動産が譲渡されたとしても、賃借人は、譲受人に対して、賃借権を主張できることを意味する」
⇒賃借権に対抗力がない場合は、
・譲受人は賃貸人たる地位を承継せず、賃借人に対して明渡請求ができる。これこそ「売買は賃貸借を破る」である。 
・ただし、譲渡人と譲受人間で合意すれば、譲受人は賃貸人たる地位を承継できる(605条の3)
A2項:1項の例外として新設されたルール
 「不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、
・賃貸人たる地位は、譲受人に移転せず、譲渡人に留保される。(賃貸不動産を第三者に譲渡した後も、その不動産を賃借した上で、賃借人に転貸するという関係になる)
・譲渡人と譲受人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に、当然に移転となる」
B3項:これまでの判例法理などを踏まえて明文化された、
 「1項(譲渡時点での当然の移転)又は2項後段(留保されていた地位の賃貸者終了時点での当然の移転)による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」
C4項:これまでの判例法理などを踏まえて明文化。
 「賃貸人たる地位の移転が法律上当然に移転する場合は、「費用償還債務」、「敷金返還債務」は譲受人が当然に承継する」

 合意による不動産の賃貸人たる地位の移転(605条の3) 法改正(R02.04.01新規)
 「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条3項及び4項の規定を準用する」

・賃借人が対抗要件を備えていない場合の話である。
・賃借人が対抗要件を備えておれば、「譲渡人と譲受人との合意は不要で、605条の2の1項により、賃貸人たる地位は譲受人に移転する」
 不動産の賃借人による妨害の停止の請求等(605条の4) 法改正(R02.04.01新規
 「不動産の賃借人は、605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)の1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる」
@その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
Aその不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求
 「対抗要件を備えた場合とは」
605条:不動産賃貸借を登記したとき(不動産の物件取得者その他の第三者に対して)
借地借家法10条:借地の上に借地権者が登記されている建物を所有するとき(第三者に対して)
借地借家法31条建物の引渡しがあったとき(建物の物件取得者に対して)
 賃貸人による修繕等(606条) 法改正(R02.04.01:タイトルを「賃貸物の修繕等」から変更。本文ただし書きを追加)
 「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」 
 「2項 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない」
 賃借人の意思に反する保存行為(607条)
 「賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる」
 賃借人による修繕(607条の2法改正(R02.04.01新規)
 「賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる」
@ 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
A急迫の事情があるとき
 賃借人による費用の償還請求(608条)
 「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる」
⇒「必要費」とは、現状を維持あるいは原状回復するために費用のほか通常の使用状態を可能とするために必要な費用

 「2項 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、196条2項の規定に従い、その償還をしなければならない。
 ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる」
⇒「有益費」とは、改良・改善などにより物の価値を高めるのに費やした費用
⇒「196条2項の規定に従い」とは、その価格の増加が現存する場合に限って、支出した金額又は増価額いずれかを賃貸人が選択して償還するということ。
 減収による賃料の減額請求(609条法改正(R02.04.01)
 「耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる」。
 改正点
@賃料の減額請求の対象を、「収益(を目的とする土地の賃借人)」から「耕作又は牧畜(を目的とする土地の賃借人)」に、限定することになった。
 よって、旧規定にあった「ただし、宅地の賃借権についてはこの限りではない」は、新条文にはない。
 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等(611条) 法改正(1項、2項 R02.04.01)
 「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」
 「同2項 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる」
 賃料の支払時期(614条)
 「賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない」
参考 借地借家法
 
趣旨(1条)
 「この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする」
⇒「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権」=借地権
 借地権の存続期間(3条)
 「借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする」
 借地権の更新後の期間(4条)
  「当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする」
 借地契約の更新請求等(5条)
 「借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものものとみなす。
 ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない」
  借地権の対抗力等(10条)
 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」
 建物買取請求権(13条
 「借地契約が終了したとき、その借地上に借地人が立てた建物が残っていた場合、建物を解体した上で敷地のみを返還する代わりに、その建物を賃貸人に買い取るよう請求することができる権利のことである」
4.建物賃貸借契約の更新等(26条
 「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする」
5.解約による建物賃貸借の終了(27条)
 「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する」 
6.建物賃貸借の期間(29条)
 「期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」
 「2項 民法604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない」 
7. 建物賃貸借の対抗力等(31条)
   「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」
8、造作買取請求権(33条)
 「建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。
 建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする」
 「同2項 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する」
9. 建物賃貸借終了の場合における転借人の保護(34条)
 「建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない
 「同2項 建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から六月を経過することによって終了する」
存続期間 3
31
1
 賃貸借の存続期間は、10年を超えることはできない。@(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
18
30
1
 Aは、B所有の甲土地について地上権の設定を受けて、同土地上に乙建物を建築した。
 この場合、A・B間では賃借権ではなく地上権が設定されたので、その存続期間については、借地借家法の適用はなく民法の規定が適用される。@

解説を見る

正しい 誤り
不動産賃借権の対抗力 3
31
2
 不動産の賃貸借は、これを登記しても、その後その不動産について物権を取得した者にはその効力を生じない。@(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
20
30
 Aは、自己所有の土地につき、Bとの間で賃貸借契約を締結した(賃借権の登記は未了)。
 AがBにこの土地の引渡しをしようとしたところ、この契約の直後にCがAに無断でこの土地を占拠し、その後も資材置場として使用していることが明らかとなった。
 Cは明渡請求に応ずる様子もないため、Bが自己の不動産賃借権に基づき土地明渡請求をすることは妥当である。@

解説を見る

正しい 誤り
29
31
4
 第三者が賃貸不動産を不法占有している場合、賃借人は、その賃借権が対抗要件を具備しているか否かを問わず、その不法占有者に対して、当該不動産に関する賃借権に基づく妨害排除請求を行うことができる。@ (20-30-ウの類型)

解説を見る

正しい 誤り

































2
33
1
 A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、本件賃貸借契約という)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。
 この場合において、本件賃貸借契約における賃貸人の地位は、別段の合意がない限り、AからCに移転する。 

解説を見る

正しい 誤り
令2
33
2
 A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、本件賃貸借契約という)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。
 この場合において、乙建物の所有権保存登記がBと同居する妻Dの名義であっても、Bは、Cに対して、甲土地の賃借権をもって対抗することができる。

解説を見る

正しい 誤り

2
33
3
 A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、本件賃貸借契約という)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。
 この場合において、 Cは、甲土地について所有権移転登記を備えなければ、Bに対して、本件賃貸借契約に基づく賃料の支払を請求することができない。

解説を見る

正しい 誤り


33
4
 A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、本件賃貸借契約という)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。
 この場合において、本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。

解説を見る

正しい 誤り
令2
33
5
 A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、本件賃貸借契約という)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。
 この場合において、本件賃貸借契約の締結にあたりBがAに対して敷金を交付していた場合において、本件賃貸借契約が期間満了によって終了したときは、Bは、甲土地を明け渡した後に、Cに対して、上記の敷金の返還を求めることができる。

解説を見る

正しい 誤り
26
32
 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。@
解説を見る
正しい 誤り








































3
31
5
 賃貸人が賃貸物を保存するために必要な行為をしようとする場合、賃借人はこれを拒むことができる。@(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
24
33
1
 Aは自己所有の甲建物をBに賃貸している場合において、Bが甲建物のために必要費及び有益費を支出した場合、特約がない限り、Bはこれらの費用につき、直ちにAに対して償還請求することができる。@(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
29
33
1
 Aは自己所有の甲機械をBに賃貸し(以下、これを「本件賃貸借契約」という)、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲機械の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。なお、この修理は、Bの責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったものではない。
 そこでBは、本件賃貸借契約において、Aの負担に属するとされる甲機械の修理費用について、直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければ、Aに対して償還を求めることはできない。@(R02改)、 (24-33-1の類型)

解説を見る

正しい 誤り
29
33
4
 Aは自己所有の甲機械をBに賃貸し(以下、これを「本件賃貸借契約」という)、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲機械の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。
 CはBに対して甲機械を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲機械の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払を求めることができる。@

解説を見る

正しい 誤り
21
32
 Aは、Bから建物を賃借して居住し、その間に同建物につき有益費を支出したが、その後に、B・C間で賃貸人たる地位の移転が生じた場合に、Aは、原則としてBに対しては有益費の償還を請求することができない。@(24-33-1の発展)

解説を見る

正しい 誤り
10
30
5
 Aは、Bの建物を借り、Bの承諾を得て当該建物を日本料理店向けに増改築した。その後、近所からの類焼により当該建物が焼失してしまった場合、賃借人Aは、賃貸人Bに対し、賃貸借契約の終了に伴い、当該建物の増改築に支出した費用の償還を請求することはできない。@

解説を見る

正しい 誤り
21
32
 Aは、Bに対して自己が所有する建物を賃貸していたが、Bが有益費を支出して同建物に増築部分を付加して同建物と一体とした場合において、後にその増築部分が隣家の火災により類焼して失われたときにも、Bは、Aに対して増築部分につき有益費の償還請求をすることができる。@(10-30-5の類型)

解説を見る

正しい 誤り


18
32
 宅地や建物の賃貸借の賃料は、翌月分を毎月末までに賃借人は賃貸人に対して支払わなければならない。@

解説を見る

正しい 誤り













 転貸
 
賃借権の譲渡及び転貸の制限(612条)
 「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」
 「2項 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる」
⇒ ただし、「賃借人が賃貸人には無断で譲渡・転貸させた場合でも、それが賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は解除権は発生しないなど、解除権には制限が課せられている。
 転貸の効果(613条) 法改正(R02.04.01:1項、3項)
 「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。
 この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない」
 「2項 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない」
 「3項 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない」
 改正点とポイント
@1項:
・「賃貸人に対して直接に義務を負う」を「賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」に。
・「賃借人の債務の範囲」とは、転貸借人の賃料が10万円、賃借人の賃料が8万円の場合は8万円
・「賃貸借に基づく賃借人の債務」とは、601条による「賃料の支払義務」、「契約終了時の賃借物の返還義務」のほか、賃借中における賃借物の保管義務など。
A3項新設:これまでの判例、一般的理解を明文化した。
・適法な転貸借の場合は、賃貸人は、賃借人と合意解除したことをもって、転借人に明渡を請求することはできない。ただし、合意解除の当時、賃貸人が賃借人(転貸人)の債務不履行による解除権を有しているときは、転借人に明渡を請求できる。
・上記の反対解釈として、適法な転貸借の場合であっても、賃借人(転貸人)に債務不履行がある場合は、これを理由に賃貸借契約を解除すると、その解除をもって、転借人に明渡を請求できる。 
 賃借人による使用及び収益(616条法改正(R02.04.01タイトルの変更他)
 「594条(借主による使用及び収益)1項の規定は、賃貸借について準用する」
⇒賃借人は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
5
30
2
 賃貸借契約は、賃借人が賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡することによって、終了する。@(基礎)

解説を見る

正しい 誤り


32
 無断転貸であっても、賃借人と転借人間においては転貸借は有効であるので、原賃貸借を解除しなければ、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することはできない。 @

解説を見る

正しい 誤り
10
30
4
 Aは、Bの建物を借り居住していたが、当該建物の賃借権をCに譲渡したいと考え、Bに賃借権譲渡の承諾を求めたところ、承諾を得ることができた。この場合、賃貸人Bは、賃借人AがCと賃借権譲渡契約を締結する前であれば、当該承諾を一方的に撤回することができる。 @

解説を見る

正しい 誤り
24
29
3
 甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。
 AがBとの間の賃貸借契約に基づいて乙土地を通行している場合において、その後に甲土地がCに売却されたときは、これによりCも当然に乙土地を通行することができる。@(応用)

解説を見る

正しい 誤り
25
32
 Aは、土地賃貸借契約に基づいてB所有の甲土地に乙建物を建てて保存登記をし、これをCが使用している。Aが、Cに対して、乙建物を売却するためには、特段の事情のない限り、甲土地にかかる賃借権を譲渡することについてBの承諾を得る必要がある。@(応用)

解説を見る

正しい 誤り
10
30
1
 Aは、Bの土地を借り、自己名義で店舗を建て、内縁の妻であるCと共同で飲食業を営んでおり、Bもそのことを知っていた。その後、Aが死亡し、Aの相続人がBの承諾を得ることなく当該店舗と土地の賃借権をCに譲渡した。
 この場合、賃貸人Bは、土地の賃貸借契約を解除できない。@(5-30-2の応用)

解説を見る

正しい 誤り






る賃








18
33
 Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。この状況の下で、A・B間の賃貸借契約が終了したので、AはCに建物の明渡しを求めたいと考えている。
 A・Bが賃貸借契約を合意解除した場合には、AはそれをCに対抗することができる。@

解説を見る

正しい 誤り
24
33
3
 Aが自己所有の甲建物をBに賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をDに転貸したが、その後、A・B間の合意により本件賃貸借が解除された場合、B・D間の転貸借が期間満了前であっても、AはDに対して甲建物の明け渡しを求めることができる。(18-33-アの類型)@

解説を見る

正しい 誤り
25
32
 Aが、B所有の甲土地の上に土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、A・B間で当該土地賃貸借契約を合意解除したとしても、特段の事情のない限り、Bは、Cに対して建物の明渡しを求めることはできない。 (18-33-アの発展)@

解説を見る

正しい 誤り
放棄による終了 18
33
 Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。
 この状況の下で、A・B間の賃貸借契約が終了したので、AはCに建物の明渡しを求めたいと考えている。Bが賃借権を放棄した場合には、AはそれをCに対抗することができない。@

解説を見る

正しい 誤り














18
33
 Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。
 この状況の下で、A・B間の賃貸借契約が終了したので、AはCに建物の明渡しを求めたいと考えている。
 Bの債務不履行によってA・B間の賃貸借契約が解除された場合には、AはあらかじめCに催告をしなくてもCに対抗することができる。@

解説を見る

正しい 誤り
24
33
4
 Aが自己所有の甲建物をBに賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をEに転貸したが、その後、Bの賃料不払いにより本件賃貸借が解除された場合、B・E間の転貸借が期間満了前であれば、AはEに対して甲建物の明け渡しを求めることはできない。(18-33-ウの類型)@

解説を見る

正しい 誤り


32
 賃貸人の承諾がある転貸において、賃借人による賃料の不払があったときは、賃貸人は、賃借人および転借人に対してその支払につき催告しなければ、原賃貸借を解除することができない。(18-33-ウの類型)@

解説を見る

正しい 誤り
21
33
 賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する。 (改)@

解説を見る

正しい 誤り
賃貸借契約終了護の転借人への通知 18
33
 Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。
 この状況の下で、A・B間の賃貸借契約が終了したので、AはCに建物の明渡しを求めたいと考えている。
 A・B間の賃貸借契約が期間満了によって終了した場合には、AはCその旨を通知しなくても、それをCに対抗することができる。@

解説を見る

正しい 誤り
18
33
 Aはその所有する建物をBに賃貸し、BはAの承諾を得てその建物をCに転貸している。
 この状況の下で、A・B間の賃貸借契約が終了したので、AはCに建物の明渡しを求めたいと考えている。
 Aからの正当事由を伴う解約申し入れによりA・B間の賃貸借契約が終了した場合には、AはCその旨を通知しなければ、それをCに対抗することができない。@

解説を見る

正しい 誤り
転貸の効果
元32
 賃貸人の承諾がある転貸であっても、これにより賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではないので、賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない。 @

解説を見る

正しい 誤り
10
30
3
 Aは、Bの土地を借り、Bの承諾を得て当該土地をさらにCに貸していた。Cは、転借料を転貸借契約に定める支払期日前にAに支払っていたが、その後Bが、Aの賃借料不払いを理由にCに対し転借料を請求した。
 この場合、転借人Cは、賃借人Aに対する当該前払いをもって賃貸人Bに対抗することはできない。@

解説を見る

正しい 誤り













 賃貸借の終了
 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了(616条の2) 法改正(R02.04.01新規)
 「賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する」
⇒当然の帰結であるが、あらためて明文化された。

 期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ (617条)
 「当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
 この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する」
 @土地の賃貸借 一年
 A建物の賃貸借 三箇月
 B動産及び貸席の賃貸借 一日
 賃貸借の更新の推定等(619条)
 「賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。
 この場合において、各当事者は、617条の規定により解約の申入れをすることができる。
 「同2項  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、622条の2の1項に規定する敷金については、この限りでない」
 賃貸借の解除の効力(620条) 法改正(R02.04.01)
 「賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる
 この場合においては、損害賠償の請求を妨げない」
 改正点
・「損害賠償の請求を妨げない」の前にあった「当事者の一方に過失があったときは、その者に対する」を削除
⇒解除には遡及効果がないことから、解除そのものによる損害賠償への影響はない。
 また、この部分の削除により、賃貸者を解除した場合の損害賠償の有無等は、過失による責任ではなく、債務不履行についての一般原則により処理されることに。

 賃借人の原状回復義務(621条) 法改正(R02.04.01、旧621条を全面書換え。実質的には新規) 
 「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」
   改正点とポイント
@賃借物を受け取った後に生じた損傷については、原則として、賃借人に原状回復義務がある。
Aただし、通常損耗(通常の使用・収益によって生じた損耗)と経年劣化については、判例や従来の一般的な理解を踏まえて、原状回復義務の対象とはしないことを明文化した。
Bまた、賃借人の帰責事由によらない損傷であるときは、これも、従来の一般的な理解を踏まえて、原状回復義務の対象とはしないことを明文化した。

 使用貸借の規定の準用(622条法改正(R02.04.01、旧622条を削除し全面改訂)
 「597条(期間満了等による使用貸借の終了)1項、599条(借主による収去等)1項及び2項並びに600条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)の規定は、賃貸借について準用する」
 敷金 法改正(R02.04.01、新規)
 「622条の2 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない」
@賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
A賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
 「同2項 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。
 この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない」 
 改正点とポイント
1項:
@敷金の定義を明文化した。「金銭の給付を目的とする債務を担保する目的」か否かで、判断するものであって、礼金、権利金、建設協力金などの名称により判断するものではない。
A敷金返還義務の発生時期を明文化した。
⇒これにより、賃貸物の明渡債務と敷金返還債務とは、特約のない限り同時履行の関係ではなく、前者の履行が先である。
2項:
@敷金返還債務の発生前における敷金の効力について、従来の一般的な理解を踏まえて明文化した。
・賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づく債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができるが、賃借人側からそうしてくれと請求することはできない。
3
31
3
 当事者が賃貸借の期間を定めないときは、各当事者はいつでも解約の申入れができ、申入れの意思表示が相手方に到達したときに賃貸借は終了する。@ (基礎)

解説を見る

正しい 誤り
3
31
4
 賃貸借を解除した場合は、将来に向かってのみその効力を生じるが、これに対する損害賠償請求をすることができる。@(基礎)

解説を見る

正しい 誤り










27
30
5
  Aが自己所有の建物をBに賃貸しBからAへ敷金が交付された場合において、賃貸借契約が終了したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する敷金返還請求権を保全するために、同時履行の抗弁権を主張することも留置権を行使することもできない。@

解説を見る

正しい 誤り

2
32
3

 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が敷金返還請求権を有する場合においては、賃貸人が敷金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。

解説を見る

正しい 誤り
24
33
2
 Aが自己所有の甲建物をBに賃貸し、その際、BがAに対して敷金を交付した場合において、BがAの承諾を得て本賃借権をCに譲渡した場合、特段の事情がない限り、AはBに対してその敷金を返還しなければならない。@(発展)

解説を見る

正しい 誤り
24
33
5
 Aが自己所有の甲建物をBに賃貸し、その際、BがAに対して敷金を交付した場合において、AがFに甲建物を特段の留保なく売却した場合、甲建物の所有権の移転とともに賃貸人の地位もFに移転するが、現実にFがAから本件敷金の引き渡しを受けていないときは、B・F間の賃貸借の終了時にFはBに対して本件敷金の返還義務を負わない。@

解説を見る

正しい 誤り