行政書士講座(民法)

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民   法 (法律行為、意思表示)

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5章 法律行為 1節総則
1.公序良俗(90条) 法改正(R02.04.01)
 「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」
 改正点とポイント
@改正点は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為」とあったところ、太字部分を除去したこと。
 これは、「公序良俗」に反するか否かの判断は、従来から、法律行為の目的、内容によってだけでなく、その法律行為が行われたプロセスその他の事情等も考慮してなされてきたことによる。
 任意規定と異なる意思表示(91条) 
  「法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う」

@「公の秩序に関しない規定」とはいわゆる任意規定のことで、任意規定と異なった意思表示をした場合は、法律行為自由の原則から、それを認める。
A上記の反対解釈から、強行規定については、たとえ当事者が同意しても、反することはできないといえる。
 任意規定と異なる慣習(92条)
 「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う」
30
27
4
 契約が公序に反することを目的とするものであるかどうかは、当該契約が成立した時点における公序に照らして判断すべきである。 @
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正しい 誤り
30
27
1
  食品の製造販売を業とする者が、有害物質の混入した食品を、食品衛生法に抵触するものであることを知りながら、あえて製造販売し取引を継続していた場合には、当該取引は、公序良俗に反して無効である。 @
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正しい 誤り
30
27

 債権の管理または回収の委託を受けた弁護士が、その手段として訴訟提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は、たとえそれが弁護士法に違反するものであったとしても、司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われた等の事情がない限り、直ちにその私法上の効力が否定されるものではない。@
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正しい 誤り
30
27
5
 男子の定年年齢を60歳、女子の定年年齢を55歳とする旨の会社の就業規則は、経営上の観点から男女別定年制を設けなければならない合理的理由が認められない場合、公序良俗に反して無効である。@
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正しい 誤り
3
30
3
 和解は、その内容が、公序良俗違反である場合は、無効であるが、強行規定に違反しても有効である。 @
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正しい 誤り
 意















5章 法律行為 2節意思表示
 意思表示と法律行為  
 意思表示
とは、「ああしたい、こうしたくない」という自らの意思を表明することをいうが、
 民法でいう「意思表示」とはこのうち特に、「法律効果(権利義務の発生、変更、消滅)を引き起こすことを意図した意思の表明をいう。 
 意思表示に似ているが意思表示でないもの
 観念の
 通知
 債権譲渡の通知、債務の承認、社員総会の通知など、
 単なる一定の事実の通知であって、自らの意思を表明したものではないもの。
 意思の
 通知
 履行の催告、受領の拒否など、
 意思の表明ではあるが、法律効果の発生という内容を伴わないもの、その効果が表明した内容と異なるもの
 履行の催告 ⇒債務が弁済されるという法律効果が生じるとは限らない。一方、消滅時効の中断、履行遅滞など、表明した内容以外の法律効果 を発生させる。
 受領拒絶 ⇒相手方の債務が消滅するわけではない。一方、相手側は履行遅滞の責任を免れさせるという、表明した内容以外の法律効果を発生 させる。 

 意思表示:表明した意思が有効な場合に生じる法律効果(法律関係の変動)と、表明した意思の内容が一致している。
 意思の通知:表明した意思は,必ずしも法律効果(法律関係の変動)を内容としていない。あるいは、それによって生じる法律効果と、表明した意思の内容が一致していない。
 法律行為の種類
 意思表示によってなされる法律行為には、次のようなものがある。
契約  2人以上の対立する意思表示が合致することにより成立する法律行為  売買、贈与、賃貸借、抵当権設定の契約など
単独
行為
 1人の者のひとつの意思表示により成立する法律行為  取消し、解除、同意、追認、債務免除、遺言など
合同
行為
 複数の者が内容を同じくする意思の合致により成立する法律行為  社団設立行為など
13
27
1
 契約の申込みは、相手方が承諾をしたならば、申し込んだ内容通りの法律効果を発生させる意思をもって行なわれるものであるから、意思表示といえる。@

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正しい 誤り
13
27
2
 契約の解除は、解除権の行使であって、そのことによって法律により、契約関係を遡及的に解消させるものであるから、意思表示とはいえない。@

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正しい 誤り
13
27
3
 転貸の承諾は、賃借人に対して、利用権限を移転させることを許容することであるから、意思表示といえる。@

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正しい 誤り
13
27
4
 債務の履行の催告は、相手方がこれに応じない場合には、社会通念に照らして軽微であると気を除き、解除権が発生し、契約を解除できるものと考えて行なう場合は、意思表示といえる。(改)@

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正しい 誤り
13
27
5
 時効の更新となる債務の承認は、債権が存在するという事実を表明するものであるから、意思表示とはいえない。(改)@

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正しい 誤り
 心











 心裡留保(93条) 法改正(R02.04.01、1項、2項) 
 「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする」

 「同2項 前項ただし書きの規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」
  改正点とポイント 
@1項:改正前は、相手方が「表意者の真意を知り」とあったのを、相手方が「その意思表示が表意者の真意でないことを知り」に。
 これにより、相手方が「表意者の真意の内容」まで知らなくても、「真意とは異なっている」ことを知り(又は知ることができた)場合も、無効とすることに。
A2項:当事者間では意思表示が無効になったとしても、「真意は別のところにあったなどいう裏事情を知らない善意の第三者には対抗できない」という判例法理を明文化した。
⇒改正前までは、判例により、94条2項からの類推適用で保護されていた。

@「心裡留保」とは、真意と表示が矛盾することを自分ではわかっていながら行なう意思表示(うそ)。
・うそや冗談で意思表示したとしても、原則的に有効である。
・ただし、相手方がうそや冗談であること知っていたり、知ろうとすれば知ることができた、常識で分かるなどの場合(悪意又は有過失)は無効である。

 事例:Aが100万円の価値のある絵を冗談でBに1万円で売ろうといった。Bは冗談と知りながらこれを1万円で買った。
 この売買契約は1項により無効であるが、その経緯を知らないCがその絵を10万円で売ってくれとBに頼みこんで、契約が成立してしまうと、2項により、ABもこの契約は無効とCに主張することはできない。
14
27
5
 心裡留保は、表意者が内心的効果意思と表示とが一致しないことを知っている場合であるが、錯誤と虚偽表示はその不一致を知らない場合である。(基礎)@

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正しい 誤り
22
27
4
 Aが高価な動産を妻に内緒で購入したことをとがめられたため、その場を取り繕うために、その場にたまたま居合わせたBを引き合いに出し、世話になっているBに贈与するつもりで購入したものだと言って、贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡した場合、当該意思表示は原則として有効である。(基礎)@

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正しい 誤り
27
28
1
 養子縁組につき、当事者の一方において真に養親子関係の設定を欲する意思がない場合であっても、相手方がその真意につき善意、無過失であり、縁組の届出手続が行われたときは、その養子縁組は有効である。@

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正しい 誤り
8
27
1
 AがBに「自動車を譲る」と真意でなく言ったとき、Bはその言葉が真意でないと知っていても、AからBに自動車を譲り渡す義務が生じる。(基礎)@

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正しい 誤り
 虚











 虚偽表示(94条)
 「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする」  
 「同2項 虚偽表示による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」

@「虚偽表示」とは相手方と通謀(共謀)して、意識的に行なったうその意思表示
・相手方と通謀しているすなわちお互いに本心に従った意思表示ではないから、無効である。
 事例:たとえば、差押さえを免れるために、相手方と通謀して売ったことにし、登記もしてしまう、いわゆる資産隠しのための契約は無効である。無効ということは、最初から 売買契約はなかったことになる。
A善意の第三者の保護(94条2項)
・善意の(本当の事情を知っていない)第三者とは契約が成立するため、取り戻すことはできなくなる。
・「第三者」とは、最高裁判例[抹消登記手続請求](S42.06.29)によれば、「虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいう」 

 転得者の保護(94条2項からの類推)
 「虚偽表示による意思表示の無効は、悪意の第三者には主張できるが、その悪意の第三者から目的物の譲り受けた善意の者(善意の転得者)には対抗することができない」
⇒悪意の(本当のことを知っている)第三者とは契約は成立せず、取り戻すことができるが、取り戻す前にその悪意の第三者から、善意の別人の手に渡ってしまうと、誰も取り戻せない。
8
27
2
 Aは譲渡の意思がないのに、債権者の差押えを免れるため、Bと通じてA所有の土地をB名義にした。Cは、その事実を知らずにその土地を購入したが、その土地はC所有のものとはならない。(基礎)@

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正しい 誤り
20
27
 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合において、Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCは、A・B間の売買の無効を主張して、B・C間の売買を解消することができる。(基礎)@

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正しい 誤り
20
27
 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合において、Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。(20-27-アの応用) @

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正しい 誤り
20
27
 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合において、Bが甲土地をAに無断でCに転売した場合に、善意のCに対して、AはA・B間の売買の無効を対抗することはできないが、Bはこれを対抗することができる。(20-27-アの応用)@

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正しい 誤り
22
27
5
 Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。(20-27-イの応用) @

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正しい 誤り
20
27
 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合において、Bの一般債権者FがA・B間の仮装売買について善意のときは、Aは、Fに対して、Fの甲上地に対する差押えの前であっても、A・B間の売買の無効を対抗することができない。(22-27-5の発展)@

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正しい 誤り
20
27
 Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合において、Bが甲土地につきAに無断でEのために抵当権を設定した場合に、Aは、善意のEに対して、A・B間の売買の無効を対抗することができない。(20-27-オの応用)@

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正しい 誤り
19
27
5
 AがB所有の土地をCに売却した場合において、所有権者Bが自らA名義で登記をして虚偽の外形を積極的に作出し、そのまま放置していた場合には、Bは、Aを所有者だと信頼して買ったCに対抗できない。(発展)@

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正しい 誤り
30
29
 ある甲土地をBが買い受ける旨の契約(以下「本件売買契約」という)をA・B間で締結した。ところが、甲土地は実際にはCの所有に属していたが、CがAに無断で甲土地の所有名義人をAとしていた場合において、Aがその事情を知らないBとの間で本件売買契約を締結したときであっても、BはCに対して甲土地の引渡しを求めることができない。(19-27-5の類型)@

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正しい 誤り
27
28
2
 財団法人(一般財団法人)の設立に際して、設立関係者全員の通謀に基づいて、出捐者が出捐の意思がないにもかかわらず一定の財産の出捐を仮装して虚偽の意思表示を行った場合であっても、法人設立のための当該行為は相手方のない単独行為であるから虚偽表示にあたらず、財団法人の設立の意思表示は有効である。(発展)@

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正しい 誤り










11
28
1
 不動産の真実の所有者Aの意思によりBの承諾なくしてB名義の不実の登記がなされ、その後当該不動産がBから悪意のCに譲渡され、更にCから善意のDに譲渡された。この場合、Dは、Aとの関係では善意の第三者として保護され、当該不動産の所有権を取得する。(発展)@

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正しい 誤り

4
27
2
 AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bが当該土地を悪意のCに譲渡し、さらにCが善意のDに譲渡した。
 この場合、Aは、虚偽表示の無効をDに対抗できない。(11-28-1の類型)

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正しい 誤り
27
28
3
 土地の仮装譲渡において、仮装譲受人が同地上に建物を建設してその建物を他に賃貸した場合、建物賃借人において土地譲渡が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、土地の仮装譲渡人はその建物賃借人に対して、土地譲渡の無効を理由として建物からの退去および土地の明渡しを求めることができない。(発展)@

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正しい 誤り

4
27
1
  AはBと通謀してA所有の土地をBに仮装譲渡したところ、Bは当該土地上に建物を建築し、これを善意のCに賃貸した。この場合、Aは、虚偽表示の無効をCに対抗できない。(27-28-3の類型)

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正しい 誤り
27
28
4
 仮装の売買契約に基づく売買代金債権が他に譲渡された場合、債権の譲受人は第三者にあたらないため、譲受人は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であっても、買主に対して売買代金の支払を求めることができない。@

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正しい 誤り
27
28
5
 金銭消費貸借契約が仮装され、借主に金銭が交付されていない場合であっても、当該契約に基づく貸金債権を譲り受けた者は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、借主に対して貸金の返済を求めることができる。 @

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正しい 誤り
 錯







 錯誤(95条) 法改正(R02.04.01、1項修正、2項から4項までは新規)
 「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる
@意思表示に対応する意思を欠く錯誤
A表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
 「同2項  前項2号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる」。
同3項 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、1項の規定による意思表示の取消しをすることができない」
@相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
A相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき

 「同4項 1項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」
 改正点とポイント 
1項
@改正前までは、「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない」とあった。
A錯誤は「無効」から「取消し可能」に変更となった。
 一般には「無効」とは、誰でもがいつでも主張できるものであるが、(改正前)錯誤の場合は、錯誤に陥った「表意者のみが主張でき、相手方からは主張できないものであった。
 改正後は「取消し可能」となり、取消権者は120条、取消しの期間制限は126条による。
B「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」とは、改正前の「要素の錯誤」をより明確に記述したもの
C1号は「表示の錯誤」、2号は「動機の錯誤」を表す。
2項(新設)
 前項2号すなわち「動機の錯誤」は、従来からの判例法理を基礎とし、「法律行為の基礎とされている事情(動機)が意思表示されており、かつ、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときに限って、取消可能とする。
3項(新設)
 改正前は1項ただし書きで「表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない」とあったのを、「無効を取消し可能」とした上で、3項に移しかつ、その例外を追加して明記した
 例外は、@相手方が悪意又は重過失、A相手方と表意者の共通錯誤で、この場合は、表意者が重過失であっても取消し可能。
4項(新設)
 96条3項(詐欺による意思表示の取消しにおける善意無過失の第三者の保護)と同一の趣旨。
チョッと補足
@錯誤とは、いわゆる勘違いのことで
表示の錯誤(意思表示に対応した意思がない、すなわち、真意と異なる意思を間違って表示した。(いい間違い、書き間違い等)と
動機の錯誤(内心の効果に関する意思と表示には不一致はないが、動機(意思を固めた事情についての認識)がに勘違いがあり、真実でない。の二つがある。
A錯誤取消しが可能となる要件は、
・意思表示が「錯誤に基づく」ものであること(表意者が錯誤に陥らなかったならば、そのような意思表示はしなかったであろうということ)
・その錯誤が、「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」であること。
・動機の錯誤の場合は、さらに、「その動機(法律行為の基礎とされている事情)が意思表示されている」こと。
 すなわち、こういう動機でこのように効果意思を決めたと表示した場合)に限って、その動機が表示意思であると見なし。表示意思と効果意思に食い違いのある錯誤として、取消し可能となる。
・表意者に重大過失がないこと。
 ここで、「重大な過失」とは、ちょっと注意すれば気がついたであろうに、それすらしなかったということ。
 ただし、相手方も悪意又は重過失であれば、取消し可能である。。
⇒婚姻の無効については、742条
B取消権者
・取消すことができのは、錯語による意思表示をした者、その代理人、承継人(120条2項)
 事例:Aが有名ブランドの時計と偽者を比べた上で、本物と勘違いして偽者の方を100万円で買ってしまった。これは、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があるので、取消し可能である。
 しかし、Aがブランド時計売買の専門家であれば、偽者を買うと意思表示したAに重大な過失があったと認められて、契約の取消はできない。
25
27
 錯誤による意思表示に関して、その錯誤が重要なものであるというためには、一般取引の通念にかかわりなく、当該表意者のみにとって、法律行為の主要部分につき錯誤がなければ当該意思表示をしなかったであろうということが認められれば足りる。(R2改)(発展)@

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正しい 誤り
25
27
 法律行為の相手方の誤認(人違い)の錯誤については@、売買においては重要な錯誤となるが、賃貸借や委任においては重要な錯誤とはならない。(R2改)(発展)

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正しい 誤り
29
28
2
 売買代金に関する立替金返還債務のための保証において、実際には売買契約が偽装されたものであったにもかかわらず、保証人がこれを知らずに保証契約を締結した場合、売買契約の成否は、原則として、立替金返還債務を主たる債務とする保証契約の重要な内容であるから、保証人は、この保証契約について錯誤による取消しを主張できる。(R2改) (発展)@

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正しい 誤り
8
27
3
 Aは土地売買の際に、重大な過失から錯誤が生じ、Bの所有する土地を買う意思表示をしてしまった。このとき、相手方Bが悪意であれば、Aは、当該土地売買の契約の無効を主張できる。(R2改)@

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正しい 誤り
25
27
 表意者が錯誤に陥ったことについて重大な過失があったときは、表意者は、原則として、自ら意思表示の取消しをすることはできない。 ただし、この場合には、相手方が、表意者に重大な過失があったことについて主張・立証しなければならない。(R2改)  (応用)@

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正しい 誤り
23
27
 BがAから絵画を購入するに際して、Bに重要な部分の錯誤が認められる場合、取消しは誰からでも主張することができるから、Bから当該絵画を譲り受けたCも当然に、A-B間の売買契約につき錯誤による取消しを主張することができる。(R2改)(応用)@
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正しい 誤り
25
27
 表意者が錯誤による意思表示の無効を主張しないときは、相手方または第三者は無効の主張をすることはできないが、第三者が表意者に対する債権を保全する必要がある場合において、表意者が意思表示の瑕疵を認めたときは、第三者たる債権者は債務者たる表意者の意思表示の錯誤による無効を主張することができる。(参考問題)@

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 参考問題につき、正解はなし。
29
28
1
 要素の錯誤が成立する場合において、表意者に錯誤に基づく無効を主張する意思がないときであっても、表意者自身が錯誤を認めており、表意者に対する債権を保全する必要がある場合、表意者の債権者は、表意者の錯誤を理由とする無効を主張することができる。(25-27-エの類型)(参考問題)@

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 参考問題につき、正解はなし












14
27
3
 動機の錯誤は、表示意思と表示との不一致を表意者が知らない場合である。@

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正しい 誤り
25
27
 動機の錯誤については、表意者が相手方にその動機を意思表示の内容に加えるものとして明示的に表示したときは、錯誤による取消の対象となるが、動機が黙示的に表示されるにとどまるときは、その意思表示の取り消しを主張することはできない。(R2改)(発展)@

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正しい 誤り
29
28
5
 離婚に伴う財産分与に際して夫が自己所有の不動産を妻に譲渡した場合において、実際には分与者である夫に課税されるにもかかわらず、夫婦ともに課税負担は専ら妻が負うものと認識しており、夫において、課税負担の有無を重視するとともに、自己に課税されないことを前提とする旨を黙示的に表示していたと認められるときは、錯誤による取消しを主張することができる。(R02改)(発展)@

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正しい 誤り
29
28
4
 連帯保証人が、他にも連帯保証人が存在すると誤信して保証契約を締結した場合、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約の動機にすぎないから、その存在を特に保証契約の内容とした旨の主張立証がなければ、連帯保証人は、その保証契約について錯誤による取消しを主張できない。(R02改)@

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正しい 誤り


























 詐欺又は強迫(96条) 法改正(R02.04.01、2項と3項)
 「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる
  「同2項 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる」
 第三者の保護 
 「同3項 詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失のない第三者に対抗することができない」

 改正点とポイント
2項(第三者による詐欺)
 改正点は「知ることができた」すなわち「知らなかったことに過失がある」を追加し、「第三者が相手方に詐欺を行った場合は、相手方が悪意又は善意有過失であるとき、取消可能とした。
3項(第三者の保護)
 改正点は「(善意で)かつ過失のない、すなわち知らなかったことに過失がない」を追加し、善意で無過失の第三者には対抗できないとした。
 詐欺がおこなわれたことを知らなくかつ知らないことに過失がない善意無過失の第三者に対しては、取消しを主張できない。(取消しが認められない)
チョッと補足
@詐欺や強迫(その程度にもよるが)の場合は、詐欺・脅迫を受けた本人にも若干の落ち度があるので、無効ではなく、「取り消すことができる」にとどまる。
 ただし、強迫の程度が非常に強く、意思決定の自由を全く奪われたような状態で意思表示した場合は、意思能力がない者であるとして、無効になる。
A第3者による強迫の場合:Aが第三者であるC から脅迫を受けてBに対してなした意思表示は、相手方Bが善意であろうとなかろうと、原則の96条1項に基づいて、取消すことができる。(96条2項の反対解釈)
B強迫の場合の第3者の保護:強迫による意思表示の取消しは、善意無過失第3者にも対抗することができる。(96条3項の反対解釈)
C代理人がいる場合についても、96条は適用され、
・代理人が相手方を詐欺した場合:本人が善意無過失であっても、相手方はその意思表示の取消しをを本人に主張できる。
・本人が代理人を介して詐欺した場合:代理人が善意無過失であっても、相手方はその意思表示の取消しをを本人に主張できる。
14
27
2
 詐欺及び強迫による意思表示は、心裡留保、虚偽表示および錯誤と同様に、表示に対応する内心的効果意思の欠缺する意思表示である。@

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正しい 誤り









26
28
3
 Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件売買契約」という)が締結された。AがDの強迫によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときは、AはDの強迫を理由として本件売買契約を取り消すことができない。@

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正しい 誤り
8
27
5
 AはBの強迫により、Bに土地を安価で売り、第三者Cは、そのことを知らずにBからその土地を買い受けた。この場合、Aは、Bとの契約を取消し、Cに対しその土地に対する自らの所有権を主張することはできない。(基礎)@

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正しい 誤り
4
28
5
 甲は、乙から土地を購入し登記を済ませたが、当該土地は乙が丙から購入したものである場合において、強迫を理由に丙が乙との売買契約を取り消したときは、甲は、丙に対抗することができない。(8-27-5の類型)@

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正しい 誤り
11
28
2
 Aは、Bの強迫によりB所有の不動産上の抵当権を放棄して登記を抹消し、次いでBは、第三者Cのために当該不動産上に新たに抵当権を設定し、その後Aは、強迫を理由として抵当権の放棄を取り消した。
 この場合、Aは、抵当権の登記を回復する前でもCに抵当権を対抗できる。(8-27-5の類型)@

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4
 Aは第三者Cの詐欺によりBの所有する土地を買ってしまったが、売主Bに対して、この意思表示を常に取り消すことができるとは限らない。(基礎)@

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22
27
3

 

 AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合において、この動産が骨董品であり、Aが、鑑定人の故意に行った虚偽の鑑定結果に騙された結果、Bに対して時価よりも相当程度安価で当該動産を譲渡するという意思表示をした場合、Bがこの事情を知っているか否か、あるいは知ることができたか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない。(R2改)(8-27-4の類型)@

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4
 Aが自己所有の甲土地をBに売却する旨の契約(以下、「本件売買契約」という)が締結された場合において、AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実をBが知らなかったことにつき過失があったときでも、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができない。(R2改)(8-27-4の類型)@

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1
 代理人が代理行為につき、相手方に対して詐欺を行った場合、本人がその事実を知らなかったときであっても、相手方はその代理行為を取り消すことができる。(21-27-5の類型)@

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意志表示の効力発生時期その他 3.意志表示の効力発生時期その他
 意志表示の効力発生時期等(97条) 法改正(R02.04.01 1項修正、2項新規、3項修正して繰下げ)
 「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」
 ポイント
@原則は「到達主義」(意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる)
A「到達とは受領され或は了知されることを要するの謂ではなく、それらの者にとつて了知可能の状態におかれたことを意味する」(最高裁判例S26.04.20)
 「同2項 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
 「同3項 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」
 改正点とポイント
・タイトル:「隔地者に対する意思表示」から「意志表示の効力発生時期等」へ
・1項:「隔地者に対する意思表示」から「隔地者に対する」を削除
 これにより、「到達主義」の原則は、「隔地者」だけでなく、それ以外の誰にも適用すべき原則であることを、改めて明確にした。
・2項(新規):「相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべき時期に到達したものとみなす」ことに。
・3項:旧2項において、「隔地者に対する」を削除、「意思能力を喪失」を追加。
 この3項の意味するところは、「意思表示の到達は、すでになした意思表示が相手方の支配下におかれた(即ち到達した)という事実をいうのであって、それ自体が法律行為ではないから、表意者が死亡したなどしても、その意思表示は有効である。 

  97条3項の例外として、526条があり、「意思表示の内容が契約の申込みである場合は、一定の事由のもとに、申込自体の効力は発生しない」
 公示による意思表示(98条)
 「意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる」

 「同2項 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる」
 「同3項 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない」
 「同4項 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する」

 意思表示の受領能力(98条の2 法改正(R02.04.01)
 「意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。
 ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない」
@相手方の法定代理人
A意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方
 改正点とポイント
@改正点
・「意思能力を有しなかったとき」を追加、A号を追加
Aポイント
・相手方が、意思表示を受けた時に受領無能力者(意思能力を有しない者、未成年者、成年被後見人)であった場合は、その意思表示は効力を有しない。(こういったと主張して対抗しようとしても、相手が精神能力的に理解できないなら、いったことにはならな)
・ただし、相手方の法定代理人あるいは、意思能力を回復した(泥酔から覚めるなど)、行為能力者となった(20歳になった)のが意思表示を知った後であれば、その意思表示は有効である。
・相手方である受領無能力者側から、意思表示が到達したよと主張することはできる。

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3
 契約の申込みの意思表示に対して承諾の意思表示が郵送でなされた場合、当該意思表示が相手方に到達しなければ意思表示が完成せず契約が成立しないとすると取引の迅速性が損なわれることになるから、当該承諾の意思表示が発信された時点で契約が成立する。

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1
 意思表示の相手方が、正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなされ、相手方が通知の受領を拒絶した場合には意思表示の到達が擬制される。これに対して、意思表示を通知する内容証明郵便が不在配達されたが、受取人が不在配達通知に対応しないまま留置期間が経過して差出人に還付され、通知が受領されなかった場合には、意思表示が到達したものと認められることはない。

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公示
送達


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2
 契約の取消しの意思表示をしようとする者が、相手方の所在を知ることができない場合、公示の方法によって行うことができる。この場合、当該取消しの意思表示は、最後に官報に掲載した日またはその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に相手方に到達したものとみなされるが、表意者に相手方の所在を知らないことについて過失があった場合には到達の効力は生じない。

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5

 意思表示の相手方が、その意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき、または制限行為能力者であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。

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