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5A |
日本国憲法 司法権(司法権の独立、法令審査権) |
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関連過去問 2-23-1、2-23-2、2-23-4、3-23-5 、4-25-2 、4-25-5、5-24-2 、5-24-3 、6-23-イ 、6-23-ウ 、6-23-エ 、7-24-1 、7-24-3 、9-25-1 、9-25-2 、9-25-3 、9-25-4 、9-25-5 、10-25-1 、10-25-2 、10-25-4 、10-25-5 、12-4-4 、13-6-4 、14-5-1 、14-5-2 、14-5-3 、15-7-1、15-7-3、18-7-オ 、18-41、19-5-1 、19-5-2、19-5-3、19-5-4 、19-5-5 、25-5-5、25-7-2、27-6-1、27-6-2、27-6-3、27-6-4,27-6-5、29-3-4、令元ー3-4、令元ー3-5、令元ー7-1、令元ー7-2、令2ー6-2、令4ー7-1、令4-7-2、令4-7-3、令4-7-4、令4-7-5 | |||
関連条文等 司法権と裁判所、裁判官の独立(76条)、裁判官の身分の保障(78条)、法令審査権と最高裁判所(81条)、対審及び判決の公開(82条) | |||
裁
判
所
の
権
限 |
1.司法権と裁判所、裁判官の独立(76条) 「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」 「同2項 特別裁判所は、これを設置することができない。 行政機関は、終審として裁判を行ふことができない」 「同3項 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」 1' 裁判所の権限(裁判所法3条) 「裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する」 「同2項 前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない」 「同3項 この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない」 |
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15 7 1 |
日本国憲法の条文およびその解釈によって導かれる「最高裁判所の権能」の一つとして司法権がある。(基礎) | ||
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10 25 2 |
司法権とは、民事事件及び刑事事件の裁判権にとどまらす、行政事件の裁判権をも含むものである。(基礎) | ||
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6 23 エ |
最高裁判所は、行政事件訴訟を除くすべての訴訟についての終審裁判所である。(10-25-2の類型) | ||
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25 5 5 |
君主制の伝統が強く、近代憲法制定時に政府と裁判所とが反目したフランスやドイツでは、行政権を統制するために、民事・刑事を扱う裁判所が行政事件も担当してきた。 | ||
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2 23 1 |
行政機関は、終審として裁判を行うことができない。(6-23-エの類型) | ||
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7 24 3 |
下級裁判所には、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所、特別裁判所が含まれる。(応用) | ||
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2 23 2 |
家庭裁判所は、特定の種類の事件のみを管轄する裁判所であり、特別裁判所の一つである。(7-24-3の応用) | ||
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10 25 1 |
家庭裁判所は、家庭に関する事件等の特別の管轄を有する特別裁判所である。(2-23-2の類型) | ||
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6 23 イ |
裁判官弾劾裁判所及び家庭裁判所は、特別裁判所である。(2-23-2の応用) | ||
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18 7 オ |
「刑事事件について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない」と日本国憲法で規定されている。 | ||
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2 23 4 |
すべての裁判官は、その良心に従い協力して職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束される。(基礎) | ||
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司 法 権 の 限 界 |
14 5 3 |
最高裁判所の判例によると、「国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、それが法律上の争訟になり、有効無効の判断が法律上可能であっても、司法審査の対象にならない」とされている。 | |
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令 2 6 2 |
内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。(14-5-3の類型) | ||
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29 3 4 |
憲法上の象徴としての天皇には民事裁判権は及ばないが、私人としての天皇については当然に民事裁判権が及ぶ。 | ||
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衆 議 院 の 解 散 問 題 |
19 5 4 |
「衆議院の解散がいかなる場合に許されるかは、裁判所の判断すべき法的問題であるのに対して、これを行うために憲法上必要とされる助言と承認の手続に瑕疵があったか否かは、国家統治の基本に関する政治的な問題であるため、裁判所の審査権は及ばない」とするは、司法権の限界に関する最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でない。(14-5-3の類型) | |
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27 6 3 |
衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埒外にあり、裁判所の審査は及ばない。(14-5-3の類型) | ||
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両 議 院 の 自 主 性 |
9 25 1 |
国会の両議院における法律制定の議事手続きについては、両議院の自主性を尊重すべきであるから、裁判所が、その議事手続きに関する事実を審理して当該法律の有効・無効を判断すべきでない。 | |
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19 5 2 |
「法律が、国会の両議院によって議決を経たものとされ、適法な手続によって公布されている場合、裁判所は両院の自主性を尊重して、法律制定の際の議事手続の瑕疵について審理しその有効無効を判断するべきではない」とするは、司法権の限界に関する最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でない。(9-25-1の類型) | ||
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大 学 の 自 治 |
19 5 1 |
「大学は、国公立であると私立であるとを問わず、自律的な法規範を有する特殊な部分社会を形成しているから、大学における法律上の紛争は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、その自主的・自律的な解決にゆだねられる」とするは、司法権の限界に関する最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でない。 | |
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27 6 2 |
大学による単位授与行為(認定)は、純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断にゆだねられるべきものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有すると認めるにたる特段の事情がない限り、裁判所の審査は及ばない。 (19-5-1の類型) | ||
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9 25 3 |
大学は、一般市民社会と異なる特殊な部分社会を形成しているから、単位認定行為のような内部問題は、特殊の事情がない限り、司法審査の対象にならない。(19-5-1の類型) | ||
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政 党 の 自 治 |
19 5 3 |
「政党の結社としての自主性にかんがみれば、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであり、政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判は及ばない」とするは、司法権の限界に関する最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でない。 | |
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27 6 4 |
政党の結社としての自律性からすると、政党の党員に対する処分は原則として自律的運営にゆだねるべきであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限りは、裁判所の審査は及ばない。(19-5-3の類型) | ||
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地 方 議 会 の 自 律 権 |
9 25 2 |
地方議会の議員の出席停止の懲罰は、自律的な法規範を持つ団体の内部規律の問題であるから、自治的措置に任せるべきであり、裁判所が判断するのは適当でない。 | |
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27 6 5 |
地方議会議員の出席停止処分は、除名とは異なり議員の権利行使の一時的制約にすぎず、議会の内部規律の問題として自治的措置にゆだねるべきであるから、裁判所の審査は及ばない。(9-25-2の類型) | ||
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令元 3 4 |
地方議会の自律権は、議院の自律権とは異なり法律上認められたものにすぎないので、裁判所は、除名に限らず、地方議会による議員への懲罰について広く審査を行うことができる。(9-25-2の類型) | ||
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9 25 4 |
地方議会の議員の除名処分は、議員の身分の喪失に関する重大事項であるから、単なる内部規律の問題ではなく、司法審査の対象になる。(9-25-2の発展) | ||
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12 4 4 |
「地方公共団体の議会がその議員に対して行った除名処分は、議会の自律権を尊重すべきであるから、裁判所による審査の対象にはならない」とするのは、最高裁判所の判例の趣旨に適合する。(9-25-4の類型) | ||
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免 責 特 権 |
令 元 3 5 |
地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない。 | |
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法 令 審 査 権 |
2.法令審査権と最高裁判所(81条) 「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」 |
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15 7 3 |
日本国憲法の条文およびその解釈によって導かれる「最高裁判所の権能」の一つとして、法令の憲法適合性の審査権がある。 | ||
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5 24 2 |
最高裁判所は、一切の法律、命令等に関し違憲審査権を有するが、下級裁判所は、この権限を有しない。(15-7-3の類型) | ||
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14 5 1 |
最高裁判所の判例によると、「裁判所が具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断できるという見解には、憲法上及び法令上の根拠がない」とされている。 | ||
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18 41 |
憲法81条の定める違憲審査制の性格に関する次の文章の空欄[ア]〜[エ]に当てはまる言葉を、枠内の選択肢(1〜20)から選びなさい。 違憲審査制の性格に関する最高裁判所のリーディングケースとされるのは、1952年のいわゆる[ア]違憲訴訟判決である。ここで最高裁は次のように判示し、[ア]の憲法違反を主張する原告の訴えを却下した。 「わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには[イ]な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は[イ]な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し[ウ]な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。 けだし最高裁判所は法律命令等に関し違憲審査権を有するが、この権限は司法権の範囲内において行使されるものであり、この点においては最高裁判所と下級裁判所との間に異るところはないのである(憲法七六条一項参照)。 ……要するにわが現行の制度の下においては、特定の者の[イ]な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所がかような[イ]事件を離れて[ウ]に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しない」 かような性格の違憲審査制を通例は付随的違憲審査制と呼び、これを採用している最も代表的な国としては[エ]を挙げることができる。
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9 25 5 |
信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断については、訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとる場合には、司法審査の対象となる。 | ||
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19 5 5 |
「具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、宗教上の教義に関する判断などが必要で、事柄の性質上法令の適用により解決するのに適しないものは、裁判所の審判の対象となりえない」とするは、司法権の限界に関する最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でない。(9-25-5の類型) | ||
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27 6 1 |
具体的な権利義務ないしは法律関係に関する紛争であっても、信仰対象の価値または教義に関する判断が前提問題となる場合には、法令の適用による解決には適さず、裁判所の審査は及ばない。(9-25-5の類型) | ||
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14 5 2 |
最高裁判所の判例によると、「憲法第81条の列挙事項に挙げられていないので、日本の裁判所は、条約を違憲審査の対象とすることはできない」とされている。 | ||
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身 分 保 障 |
3.裁判官の身分の保障(78条) 「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。 裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない」 ⇒「公の弾劾」、具体的には64条(弾劾裁判所)による。 |
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13 6 4 |
裁判官は、原則として、公の弾劾によらなければ罷免されない。(基礎) | ||
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6 23 ウ |
最高裁判所の裁判官は、国民審査による場合を除いて、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合及び公の弾劾によ る場合以外は、罷免されることはない。(基礎) | ||
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5 24 3 |
最高裁判所の裁判官は、公の弾劾により罷免されるが、下級裁判所の裁判官には、弾劾制度は適用されない。(基礎) | ||
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4 25 2 |
裁判官は、裁判により職務を執ることができないと決定された場合を除き、罷免されない。(応用) | ||
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10 25 5 |
裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。(基礎) | ||
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令 元 7 1 |
裁判官の身分保障を手続的に確保するため、罷免については国会に設置された弾劾裁判所が、懲戒については独立の懲戒委員会が決定を行う。(10-25-5関連)。 | ||
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令 元 7 2 |
裁判官の懲戒の内容は、職務停止、減給、戒告または過料とされる。(発展) | ||
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対 審 及 び 判 決 の 公 開 |
4.対審及び判決の公開(82条) 「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」 「同2項 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞(おそれ)があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。 但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐ(い)る事件の対審は、常にこれを公開しなければならない 」 |
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4 25 5 |
裁判の対審及び判決は、いかなるときにおいても公開法廷で行わなければならない。 (基礎) | ||
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7 24 1 |
裁判の対審及び判決は、すべて公開法廷でこれを行う。(4-25-5の類型) | ||
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10 25 4 |
裁判の判決は、いかなる場合も、公開法廷で行わなければならない。(4-25-5の類型) | ||
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遮蔽措置等 | 令 4 7 3 |
裁判の公開に関する最高裁判所の判例に照らすと、「証人尋問の際に、傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られても、審理が公開されていることに変わりはないから、裁判の公開に関する憲法の規定には違反しない」
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過料の裁判 | 令 4 7 2 |
裁判の公開に関する最高裁判所の判例に照らすと、「裁判所が過料を科する場合は、それが純然たる訴訟事件である刑事制裁を科す作用と同質であることに鑑み、公開法廷における対審および判決によらなければならない」 | |
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分限事件 | 令 4 7 5 |
裁判の公開に関する最高裁判所の判例に照らすと、「裁判官の懲戒の裁判は行政処分の性質を有するが、裁判官の身分に関わる手続であるから、裁判の公開の原則が適用され、審問は公開されなければならない」 | |
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非公開対審 | 3 23 5 |
政治犯罪に関する事件については、裁判官の全員一致で決した場合は、非公開で対審を行うことができる。(基礎) | |
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傍聴人のメモ | 25 7 2 |
法廷内における傍聴人のメモ採取を禁止することが憲法に違反しないかが争われた事件の最高裁判所判決の趣旨によると、「憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある」(4-25-5の応用) | |
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令 4 7 4 |
裁判の公開に関する最高裁判所の判例に照らすと、「傍聴人は法廷で裁判を見聞できるので、傍聴人が法廷でメモを取る行為は、権利として保障されている」 | ||
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カメラ取材 | 令 4 7 1 |
裁判の公開に関する最高裁判所の判例に照らすと、「裁判は、公開法廷における対審および判決によらなければならないので、カメラ取材を裁判所の許可の下に置き、開廷中のカメラ取材を制限することは、原則として許されない」 | |
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