行政書士講座(憲法) |
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3B |
日本国憲法 (参政権、選挙、国会議員) |
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関連過去問 1-31-5、4-24-1 、8-22-エ、8-23-5、9-23-3 、11-23-1、12-5-1、12-5-4、13-6-5 、14-3、14-6-1 、14-6-2、14-6-3 、14-6-4、14-6-5、15-7-4 、17-4-1、17-4-2、17-4-3、17-4-4 、17-4-5 、17-6-1 、17-6-5 、17-7A 、17-7B 、18-7-ア 、20-5-ウ 、20-6-1、20-6-2 、20-6-3 、20-6-4、20-6-5、22-3-イ 、23-6-1 、23-6-2 、23-6-3 、23-6-4 、23-6-5 、24-4-2、24-4-3、24-4-4、25-6-イ、28-5-3、28-7-2、令元ー3-1、令元ー3-2、令元ー5-1、令元ー5-2、令元ー5-3、令元5-4、令元5-5、令2ー6-1、令2-6-3,令2ー6-5、令3-7 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
0 参政権(直接的、間接的) 参政権とは、「国民が主権者として、直接的または代表者を通じて間接的に、国の政治に参加する権利をいう」 (1)直接的な参加の制度、権利としては、 @公職就任:公職に国民自ら就任すること。公務員就任権、被選挙権など A国民発案(イニシアティブ):一定数の有権者によって憲法改正や法律案の提出をする制度 日本では国政レベルでは採用されていないが、地方自治法74条に 「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く)の制定又は改廃の請求をすることができる」 B国民評決(レファレンダム):国の意思決定のための投票に参加するなど、直接民主制の理念に基づく制度 日本国憲法では、代表民主制に立ちつつも、憲法改正案に関する国民投票(96条)、地方自治特別法の住民投票(95条)がある。 (2) 間接的な参加の制度、権利としては、 @選挙権 A国民解職(国民罷免、リコール);一定数の選挙人によって公職にある者の解職(罷免)を請求し、その可否を一般選挙人の投票で決する制度。 ・日本では国政レベルでは採用されていないが、地方自治法80条に、 「選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるその総数の3分の1(その総数が40万を超える場合、80万を超える場合にあっては一定の特例あり)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求をすることができる」、 (3)その他 @請願権:請願の受理を求める権利で、国務請求権に属するとされているが、近年では民意を直接的に政府等に伝えるという意味において、参政権的機能も有するという説もある。(ただし、国家意思の決定に参加する権利ではないので、典型的な参政権とは異なる) A最高裁判所裁判官国民審査の制度(79条2項)については、国民の請求を受けて実施されるものではないので、典型的な国民解職の制度とは異なる。 ⇒国民投票制については、こちらも参照のこと。 |
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公 務 員 選 定 罷 免 権 |
1.公務員選定罷免権、公務員の性質、普通選挙・秘密投票の保障(15条)
「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」 公務員とは ・広く立法、司法、行政に関する国及び地方公共団体の事務を担当する職員をいい、 99条にあるように、「国務大臣、国会議員、裁判官のほか、国家公務員、地方公務員、特別職公務員、法令により公務に従事する委員(人権擁護委員、民生委員など)、公団・公庫の職員等を含む。 ・ただし、実際には、すべての公務員を、国民が選んだり、罷免したりできるわけではない。 外国人の参政権についてはこちらを
「同2項 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」
「同3項 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」
⇒普通選挙の対象は、国会議員、地方議会議員、都道府県知事、市町村長に限られる
「同4項 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない」
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14 6 1 |
公務員を選定し、およびこれを罷免することは、人類普遍の権利である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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12 5 1 |
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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22 3 イ |
憲法15条1項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定めるが、最高裁判例はこれを一切の制限も許さない絶対的権利とする立場を明らかにしている。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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14 6 2 |
すべて公務員には、公益のため、無定量の奉仕が要求される。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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14 6 3 |
公務員の報酬は、在任中、これを減額することができない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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17 6 5 |
公務員の身分保障の一環として、官吏は、憲法上、すべて定期に相当額の報酬を受けるものと定められている。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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選 挙 権 |
令 元 5 1 |
最高裁判所の判例によれば、国民の選挙権それ自体を制限することは原則として許されず、制約が正当化されるためにはやむを得ない事由がなければならないが、選挙権を行使するための条件は立法府が選択する選挙制度によって具体化されるものであるから、選挙権行使の制約をめぐっては国会の広い裁量が認められる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令 元 5 2 |
最高裁判所の判例によれば、立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持する上で、きわめて重要な基本的人権であることに鑑みれば、これに対する制約は特に慎重でなければならない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令 元 5 3 |
最高裁判所の判例によれば、一定の要件を満たした政党にも選挙運動を認めることが是認される以上、そうした政党に所属する候補者とそれ以外の候補者との間に選挙運動上の差異が生じても、それが一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に達している場合に、はじめて国会の裁量の範囲を逸脱し、平等原則に違反することになる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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14 6 4 |
選挙における投票の秘密は、公共の福祉に反しない限りで、保障される。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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14 6 5 |
選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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国 会 議 員 の 選 挙 |
2.国会議員の選挙 両議院の組織(43条) 「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」 ⇒ここでいう「選挙」は直接選挙(選挙人が直接に代表者を選挙する)のことか、間接選挙(一般選挙人は中間選挙人を選び、中間選挙人が代表者を選挙する)も含まれるかについては争いがある。 「同2項 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める」 43条2項にいう「法律」とは公職選挙法のことで、 「公選法4条 衆議院議員の定数は、465人とし、そのうち、289人を小選挙区選出議員、176人を比例代表選出議員とする」 「公選法4条2項 参議院議員の定数は248人とし、そのうち、100人を比例代表選出議員、148人を選挙区選出議員とする」 国会議員及び選挙人の資格(44条) 「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。 但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」 「法律」と公職選挙法のことで、 ・選挙権:「公選法9条 日本国民で年齢満18年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する」 ・被選挙権:「公選法10条 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。 @衆議院議員については年齢満25年以上の者 A参議院議員については年齢満30年以上の者 衆議院議員の任期(45条) 「衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する」 参議院議員の任期(46条) 「参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する」 議員の選挙(47条) 「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める 両議院議員相互兼職の禁止(48条) 「何人も、同時に両議院の議員たることはできない」 |
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14 3 |
「国民代表」についての次の記述のうち、他の選択肢とは異なる考え方に基づくものはどれか。 A: 参議院については、全国を一選挙区として選挙させ、特別の職能的知識経験を有する者の選出を容易にすることによって、職能代表的に運営すべきである。 B: 衆議院については、都道府県を一選挙区として選挙させ、都道府県住民の意思を集約的に反映させることで、地域代表の色彩を加えるべきである。 C: 代表とは、社会構造の複雑・多様化にとともなって社会の中に多元的に存在するさまざまな利害の分布を、そのまま国会に反映することだと解すべきである。 D: 両議院の議員は、自分の応援してくれる特定の階級、党派、地域住民など一部の国民を代表するのではなく、あくまで全国民を代表するものと解すべきである。 E: 特に衆議院の議員定数については、地域振興の観点から過疎地域に多めに定数を配布することによって、社会的弱者の代表を実現すべきである。 |
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23 6 1 |
憲法43条第1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定めている。 この「全国民の代表」とするという定式は近代憲法に広く見られ、大日本帝国憲法でも採用されている。 |
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23 6 2 |
憲法43条第1項は「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定めている。 この「全国民の代表」とするという定式は、近代の国民代表議会の成立に伴い、国民とその代表者との政治的意思の一致を法的に確保する目的で、命令委任の制度とともに導入されたものである。 |
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23 6 4 |
憲法43条第1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定めている。 この「全国民の代表」に関連して、「議員は議会で自己の信念のみについて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない 」との原則は、自由委任の原則と呼ばれれている。 |
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23 6 3 |
憲法43条第1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定めている。 この「全国民の代表」に関連して、「政党は国民の中の1党派であり、全国民を代表するものではないため、議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。 |
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23 6 5 |
憲法43条第1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と定めている。 選挙は現代では政党間の選択としての意味を持つため、この「全国民の代表」という考え方から、現行法上、議員は所属政党から離脱した時は自動的に議員としての資格を失うものとされている。 |
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20 6 1 |
参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強めるために、「各都道府県の知事・副知事その他知事の任命する職員が参議院議員となる」という改革が提案されたとしても、最高裁判所の判例からすると、憲法改正は必要ではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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20 6 2 |
参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強めるために、「都道府県議会議員が参議院議員を選挙する」という改革が提案されたとしても、最高裁判所の判例からすると、憲法改正は必要ではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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20 6 3 |
参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強めるために、「参議院の議員定数を削減し、各都道府県から2名ずつ議員を選挙する」という改革が提案されたとしても、最高裁判所の判例からすると、憲法改正は必要ではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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20 6 4 |
参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強めるために、「中立的な委員会が学識絡験に優れた者を参議院議員に選出する」という改革が提案されたとしても、最高裁判所の判例からすると、憲法改正は必要ではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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20 6 5 |
参議院の政党化を抑制し、その衆議院に対する独自性を強めるために、「政党による立候補者名簿の届出が不可能な選挙制度にする」という改革が提案されたとしても、最高裁判所の判例からすると、憲法改正は必要ではないと考えられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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議 員 定 数 |
1 31 5 |
日本国憲法上、両議院の議員の定数については、法律で規定する必要がないとされている。(基礎) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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選 挙 制 度 |
28 7 2 |
選挙制度を政党本位のものにすることも国会の裁量に含まれるので、衆議院選挙において小選挙区選挙と比例代表選挙に重複立候補できる者を、一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令元 5 4 |
最高裁判所の判例によれば、小選挙区制は、死票を多く生む可能性のある制度であることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、特定の政党のみを優遇する制度とはいえないのであって、選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法といい得る。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令 元 5 5 |
最高裁判所の判例によれば、比例代表選挙において、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて、政党等があらかじめ定めた当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果、すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点で選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、直接選挙といい得る。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令 元3 1 |
衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。(発展) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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選 挙 の 公 正 を 確 保 す る た め の ル | ル |
17 4 1 |
次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。 「選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。 このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える」(最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下) さてそこで、「憲法47条は、国会議員の選挙に関する事項は法律で定めることとしているが、これは、選挙運動については自由よりも公正の観点からルールを定める必要があり、そのために国会の立法裁量の余地が広い、という趣旨を含んでいると考えられる」とする見解は、この補足意見とは考え方が同じである。 |
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17 4 2 |
次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。 「選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。 このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える」(最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下) さてそこで、「国会は、選挙区の定め方、投票の方法、日本における選挙の実態など諸般の事情を考慮して選挙運動のルールを定めうるのであり、これが合理的とは考えられないような特段の事情のない限り、国会の定めるルールは各候補者の守るべきものとして尊重されなければならない」とする見解は、この補足意見とは考え方が同じである。 |
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17 4 3 |
次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。 「選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。 このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える」(最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下) さてそこで、「公職選挙法による戸別訪問の禁止は、表現の自由を制限するものと考えれば、これを合憲とするために要求される厳格な基準に合致するとはいえないが、選挙の公正を碓保するためのルールであると考えられるので、そこに一定の合理的な理由が見出される限りは、国会の立法裁量を尊重すべきであり、合憲的な規制であると考えられる」とする見解は、この補足意見とは考え方が同じである。 |
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17 4 4 |
次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。 「選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。 このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える」(最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下) さてそこで、「戸別訪問には、選挙人の生活の平穏を害し、買収・利害誘導等の温床になりやすいなどの弊害が伴うことは否定できない一方、これを禁止する公職選挙法の規定は、自由な意見表明そのものの制約を目的とするものではなく、意見表明の手段方法がもたらす弊害の防止を目的としているにすぎないから、厳格な基準は適用されず合憲である」とする見解は、この補足意見とは考え方が同じである。 |
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17 4 5 |
次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。 「選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。 このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える」(最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下) さてそこで、「もとより戸別訪問の禁止が、選挙の公正を確保するための立法政策として妥当であるかどうかについては、考慮の余地があり、実際、戸別訪問の禁止を原則として撤廃すべしとする意見も強いが、これは、その禁止が憲法に反するかどうかとは別問題である」とする見解は、この補足意見とは考え方が同じである。 |
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相 互 兼 職 の 禁 止 |
12 5 4 |
何人も、同時に両議院の議員たることはできない。(基礎) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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18 7 ア |
何人も、同時に両議院の議員たることはできない。(12-5-4の類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3.衆議院の解散と総選挙をめぐる各種論点 3.1 総選挙の時期(公職選挙法31条) 「衆議院議員の任期満了に因る総選挙は、議員の任期が終る日の前30日以内に行う」 「2項 前項の規定により総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から23日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会閉会の日から24日以後30日以内に行う」 ⇒ ・国会閉会日が任期満了日より54日以上前であれば、1項の通りで30日間の選択幅がある。 ・国会閉会日から任期満了日までに54日以上ない場合は、閉会日から23日空けて24日以後30日以内に行う。そのため、実際の選挙日が任期満了日以降となることもある。 「3項 衆議院の解散に因る衆議院議員の総選挙は、解散の日から40日以内に行う」 |
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令 2 6 1 |
衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令2 6 3 |
最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令 2 6 5 |
天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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議 員 の 歳 費 |
4.1 議員の歳費(49条) 「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける」 4.2 議員の不逮捕特権(50条) 「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない」 国会法(33条) 「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」 国会法(34条の3) 「議員が、会期前に逮捕された議員の釈放の要求を発議するには、議員20人以上の連名で、その理由を附した要求書をその院の議長に提出しなければならない」 4.3 議員の発言表決の免責特権(51条) 「両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない」 |
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17 6 1 |
いわゆる議員特権の一つとして、両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受けるものとされている。(基礎) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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24 4 3 |
両議院の議員は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。(17-6-1の応用) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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議員の不逮捕 特権 |
9 23 3 |
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、会期中にこれを釈放しなければならない。(基礎) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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24 4 2 |
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、開会後直ちにこれを釈放しなければならない。 (9-23-3の類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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11 23 1 |
衆議院及び参議院の議員は、原則として、国会の会期中逮捕されないことになっているが、この特権は、院外における現行犯罪の場合やその院の許諾がある場合は除外されている。(9-23-3の発展) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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令 元 3 2 |
両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、憲法が定めるところにより、院外における現行犯の場合でも逮捕されない。(11-23-1の類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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議 員 の 発 言 表 決 の 免 責 特 権 |
8 23 5 |
両議院の議員は、議院で行なった演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。(基礎) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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13 6 5 |
国会議員は、議院で行つた演説、討論、表決につき、院外で責任を問われない。 (8-23-5の類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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24 4 4 |
国務大臣は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。 (8-23-5の類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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28 5 3 |
「両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない」と憲法上明文化されている。(8-23-5の類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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議 員 の 資 格 争 訟 |
5.議員の資格争訟(55条) 「両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする」 「議員の資格」とは、44条に基づき、 @公職選挙法(10条、11条)に定められた被選挙権を有していること。 A国会法(39条)に定められた議員との兼職禁止規定(大臣等を除いて、国家公務員・地方公務員と兼職してはならない)に違反していないこと。 なお、議員資格を得た後、「院内の秩序を乱す」などの理由による議員資格はく奪については、58条2項による。 チョッと補足(議院の権能) (1)自律権 ・議員の資格争訟の裁判権(55条) ・議員懲罰権(58条2項後段) ・議院規則制定権(58条2項前段) ・役員選任権(58条1項) ・議員釈放要求権(50条) ・秘密会の開催請求権(57条1項但書) (2)国政調査権(62条) |
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17 7 A |
日本国憲法および公職選挙法が予定する裁判作用に関し、国会議員の資格をめぐる裁判の担い手は国会である。(基礎) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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25 6イ |
議員の資格争訟は議院の権能である。(17-7-Aの類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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15 7 4 |
日本国憲法の条文およびその解釈によって導かれる「最高裁判所の権能」の一つとして、国会議員の資格争訴の裁判権がある。(17-7Aの類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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4 24 1 |
両議院において、それぞれその議員の資格に関する争訟の裁判を行い、議員の議席を失わせるには、出席議員の過半数による議席が必要である。(基礎) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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8 22 エ |
議員の資格に関する争訟の裁判により、議員の資格を失わせるときは、 出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。(4-24-1の類型) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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17 7 B |
日本国憲法および公職選挙法が予定する裁判作用に関し、国会議員の選挙の効力をめぐる裁判の担い手は裁判所である。(発展) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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20 5 ウ |
衆議院は、実質的にみて、司法権を行使することがある。(応用) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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6.国民投票制 @国民投票は、国政上の重要問題について実施される投票制度で、狭義には選挙以外で国民が決定を行うレファレンダム(国民表決)のことをいうが、イニシアティブ(国民発案)、リコール(国民解職、国民罷免)を含み、さらに国民拒否やプレビシット(国民意思表示)を含めていうこともある。 ・レファレンダム(国民表決):議会の議決等は経たが、未だ効力を発生するに至っていない国家意思について国民投票に付し、国民からの賛意が得られたときに初めて、国家意思としての効力を発生させるものとして行われる国民投票。 ・イニシアティブ(国民発案):国家意思の形成について、その発案権を国民の側にも認めるもので、一定数以上の有権者により発案され、それが直ちに国民投票にに付されるものと、議会の審議に付されるものとがありうる。 ・リコール(国民解職、国民罷免);公職にある者について、任期の満了を待つことなく解職を求める手続きをいう。通常は、一定数以上の有権者からの解職要求がなされた上で国民投票に付される。 ・国民拒否:既定のある国家意思について、存続させるべきではないとの意思表示を投票で示し、それを失効させる制度。制 ・プレビシット(国民意思表示);国家意思の形成にあたり、国家機関が、多くの場合は任意に、国民投票も手段を用いて国民に意思の表示を求めるもので、投票によって示された国民の意思には法的な効力は存在せず、したがって、必ずしも国家意思を拘束しない。 ⇒なお、リコール(国民解職、国民罷免)については、国民投票ではあるが、国家意思の形成に関わる公務担当者の罷免・解職が目的であり、それを通じて間接的に国家意思の形成に影響を及ぼすものであるから、選挙と同様に間接的な参政方法(間接民主制の形態)として位置づけるべきものとする主張もある。 A日本国憲法では、国民投票制として憲法改正案に関する国民投票(96条)、地方自治特別法の住民投票(95条)があり、上記の国民評決(レファレンダム)の1種といえる。 なお、最高裁判所裁判官国民審査の制度(79条2項)については、国民の請求を受けて実施されるものではないので、間接的参政権の一つとされるリコール(国民解職)の制度とも少し異なるといえる。 |
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令 3 7 |
次の文章の空欄[ア]〜[オ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 「国民投票制には種々の方法があるが、普通にこれを[ア]、[イ]及び[ウ の三種に大別する。 [ア]という言葉は、通俗には広く国民投票一般を意味するもののようにも用いられているが、その語の本来の意義は、代表者たる議会が一度議決した事柄を、主権者たる国民が確認又は否認して終局的に決定するということであって、国民表決という訳語も必ずしも正確ではない。・・・(中略)・・・。 [ア]が議会の為したことの過誤を是正する手段であるのに対して、[イ]は議会が為さないことの怠慢を補完する方法である。即ち議会が国民の要望を採り上げないで、必要な立法を怠っている場合に、国民自ら法律案を提出し国民の投票によってその可否を決する制度である。・・・(中略)・・・。 [ウ]即ち公務員を国民の投票によって罷免する制度は、元来選挙と表裏を成して人の問題を決定する もので、[エ]を前提とするものであるから、厳密な意味における[オ]ではないけれども、その思想及び制度の歴史に於いて他の国民投票制と形影相伴って発達して来たのみならず、その実行の方法に於いても、概ね共通しているから、通常やはり国民投票制の一種として取り扱われている」 (出典 河村又介「新憲法と民主主義」1948年。ただし、問題文では表記の一部は改められている)
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